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腕が挙がらない!?百五十肩のエルフを整体で癒した~もちろんセルフケアが必要~

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

https://youtu.be/HQVG498iqqM


アイシャ・ヴァライアはエルフ族である。

エルフは長寿で魔法が得意な種族だ。人族の5倍生きるので500歳のエルフもいる。

実年齢は、見た目の年齢×5の年齢と思うと分かりやすい。20歳に見えるエルフは100歳前後である。


エルフは魔法が得意な為、大抵の身体の問題は、回復魔法や身体強化魔法でごまかせてしまう。筋力が無くても身体強化魔法で力を出せるし、傷めたらすぐに回復魔法で治してしまう。

しかし、そうなると魔法が得意なエルフほど運動や体のケアをしなくなる。だからボロボロのエルフは意外と多い。


アイシャ・ヴァライアもその一人であった。

優秀な魔法使いのなので、身体強化でごまかせた。痛くなっても回復魔法で治った。

冒険者としても数々の偉業を達成した。

159歳までそれでやってこれた。何しろ魔法の天才で、魔法に関しては他のエルフの倍の努力もしてきたのだから…

しかし、体の使い方は訓練していなかった。

「いたた、あれ?魔力が通らない…」


ある時、ついに全ての歯車が狂いだした。身体の使い方が悪い為、魔力の通りが悪くなり、回復能力が下がって更に使い方が悪くなるという悪循環に陥ってしまった。

ダンジョンでの冒険中に異常を感じ、パーティ全員で引き返すことになったのだ。

優秀な回復術士にも見て貰ったが、次の日には元通りになっていた。


そこで藁をもつかむ気持ちで、治す方法を探していたところにある情報が飛び込んできた。

それは、「整体」と呼ばれる技術を使う異世界からの迷い人の存在である。

聞くところによると魔法を一切使わずに、体の不調を治すことができるらしい。

そんなことができるなら魔法はいらないのだから眉唾な話だ。

しかし、S級冒険者の虎獣人が、腰の痛みで冒険に出られなくなっていた時に腰痛を治して復帰させたのもその迷い人らしいし、貴族の令嬢も頻繁に通っているという話もある。


話を信じて迷い人のいるサロンに行ってみる事にした。

建物に入ると変な眼鏡を首にかけている黒髪の男が出てきた。

「こんにちは」

まあまあしっかりとした挨拶する男だ。冒険者の男はガサツな男ばかりである。


「あのぅ、ここで体の痛みを取って貰えるって聞いたんだけど。」


恐る恐る聞いてみる。


「絶対に痛みが取れるというわけではありませんよ。状態をみて、生活習慣を聞いて、施術をしてみてどうなるかという感じです。」


生活習慣を聞いてどうするんだ?新手のナンパ師か?


「とりあえずやってみてちょうだい。」


アイシャは意を決して受ける事にした。

まずは検査をさせられた。腕が45°程度しか挙がらない。肩の周りの筋肉をほぐす必要があると言われ、肩甲骨についている筋肉を揉み始めた。

脇の下の筋肉をほぐし始めた時、魔力の詰まりの原因のようなポイントに指が当たった。


「ヒャッ!!」


「大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫よ。ビリっとしただけだから。」


「痛いようでしたらすぐに言ってくださいね。」


(なかなか丁寧じゃない。人族はまともな言葉づかいもできない男ばかりだから、まともな人族なら召使いにするのもありよね。これで治ったら召し抱えてあげようかしら…)


~数分後~


「どうですか?少し動かしてみて下さい。」

迷い人の男は言った。まさかこれで動くのだろうか。


「あ!治ってる!」

意外に良くなっていた。まだ痛みはあるがこの男に任せれば治るかもしれない。


「治ってませんよ。」


「え?」


アイシャは男が何故否定するのか分からなかったが、男は続けた。


「アイシャさん、施術中にした話は聞いていましたか?」


良くなるかどうかしか考えていなかったので、アイシャは適当に相槌を打っていた。


「魔法に頼って、自分の力ではほとんど運動していないですよね?だから筋力が弱過ぎです。あと柔軟性も無いので、、自宅で筋トレとストレッチをしておいて下さい。」


そんな事は聞いたことが無い。治ったらそれでいいではないかとアイシャは思っていた。

「え?何でよ?治ったらそれでいいじゃない。何で私がそんな事をしなきゃならないのよ。」


「自分の身体だからですよ。これ以上悪くなったら、強化魔法を使えてもろくに動けない体になりますよ。」


「げ…」

アイシャはようやく観念した。


「今回は棘下筋と肩甲下筋の筋トレとストレッチを教えますから、しっかりやって下さいね。」


アイシャはストレッチなんかはしたことが無いから硬い。硬い人がストレッチをやると伸びづらい。思ったより伸びないから無理に伸ばして、痛いから途中で諦めてサッと止めてしまう。

最初は30秒くらいは伸ばせる強度でゆるく伸ばすべきだ。


「まだ止めないで下さい。ゆるくでいいからしっかりやって下さい。そんな状態で500歳まであと340年近く生きるつもりですか?」


「店長きびし~」


こうしてアイシャもリラクゼーションサロンゆるりん異世界支店の常連になっていった。


~ゆるりん店長の回想~


「やはり回復魔法があっても五十肩になるんだな」


現代社会は医学も薬も圧倒的に進んでいる。薬で痛みをごまかすようになった人は、根本の原因を改善しようと思わなくなる。それどころか、痛み止めで痛みを感じないだけなのに治ったと思う人もいる。

薬や外からの力だけでは筋力はつかないし、柔らかくならないし、使い方もうまくならない。


そんなに良い薬ができても本人の努力なくしては、健康にはなれないというのがゆるりん店長の持論であった。では魔法のある世界であったらどうだろうか。

ゆるりん店長は例え回復魔法があっても一緒だと思っていた。何故なら、自分の努力が必要無ければ努力しないのが人間の性である。

問題が出るまで頼り切って、むしろより酷い状態にだってなりえるはずだ。それが今回のアイシャだった。


「これが再確認できただけでもこっちに来た甲斐があったな。」


こうしてまたひそかにゆるりん店長は現実社会に戻っていったのであった。


最後まで読んで頂きありがとうございます。


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