第2話 隠し子!?
(え…と、じいちゃんの隠し子ってことは、おとんの兄妹だから…)
「え? 私のおばさんってこと⁉︎」
頭の中だけで考えるには、整理しきれない問題だったので、ボソボソと小声で喋りながら整理していたのに、結局自分の考えた末路のとんでもなさに、私は声に出してしまったのだ。さすがに聞かれたかと思い顔をあげれば、とうに2人の姿は目の前から消えていた。
「え? どこ行った?」
辺りをキョロキョロと見渡せば、じいちゃんは既に家がある方向へ歩き始めていた。次に女子高生の姿を探すと、まだそんなに遠くには行っていなかったので、私は女子高生の後をこっそりついていくことにした。
これは立派なストーカーだけれども、我が家の危機か、はたまたじいちゃんが騙されている可能性も捨てきれないのだから、これは善意だ。
「あれ…? でも隠し子だとおかしくね? 2人とも、さっきあだ名で呼び合ってたし、イチャイチャしてたよね。え…じゃあやっぱり騙されてんの?」
女子高生と少し離れた場所からついていきながら、さっき自分が考えた末路に疑念が生じる。それを誰に話しかけるでもなく、独り言として発したものの、すれ違った人の数人が、話しかけられたと思ったのか振り返っていった。
前を歩く女子高生を窺うように距離を詰める。すると、数分前までじいちゃんとイチャイチャしていた人物とは思えないほど、女子高生のまとう雰囲気が違って見える。それどころか、今目の前に居る女子高生は、通りを歩いている勧誘の声にもクールに対応している。
「…やっぱ騙されてんじゃね?」
辿り着いた結論を踏まえて、この日から私は、じいちゃんの動向を監視することにした…。
とりあえず2週間、じいちゃんの動向を探ってみた。ひとつ訂正しておきたいのは、私もそんなに暇じゃないってこと。こう見えて大学生は、課題だって多いし、バイトだって…いや、まぁそれはいいか。話が脱線してしまったけど、じいちゃんは特にあの女子高生と、日頃から連絡を取り合っているというわけではなさそうだった。ただ1週間に1度、決まった曜日と時間に突然街中へ出かけて行くのだ。女子高生に会いに…。
そして私が見た時と同じように、あだ名で呼び合い、イチャイチャする。イチャイチャするといっても、倫理的に許される範囲だということも気づいた。キャッキャしてはいるが、じいちゃんが女子高生にセクハラまがいの行為をしているわけではないし、2人は逢瀬とひとときの会話を、純粋に楽しんでいるだけのように見えた。けれどひとたび2人が別れると、女子高生はまるで別人のようで、じいちゃんを見送りもしなかった。
次の週、遂に私は2人の前に立ちはだかることを決めた。もしも本当にじいちゃんが騙されているのなら、孫としてビシッと止めてやる…そんな気概に私は満ち溢れていた。
『じいちゃん、これはどういうことか説明してよ! 女子高生相手に自分が何やってるか解ってるの⁉︎ 騙されてるんだよ‼︎』
よし、これでいこう。シミュレーションはバッチリだ! こういうのは勢いだからな…先手必勝に限る。私は意気込んで2人の前に堂々と立って、ビシッと人差し指を突きつけて、口を開いた。
「じいちゃん! どういうことか説明して! 誰に見られるかも解らないこんな街中で、あろうことか、女子高生とイチャイチャしやがって…一体どういうつもりなの⁉︎」
おっと、私の発言がシミュレーションと違うのは、100歩譲って多めに見てほしい。