四話「レーヴィット公爵家の家族会議」
場所をお父様の書斎に移し、話をすることにした。
あまり人に聞かれたくない話だから、人払いをしてもらった。
僕の前世はここではない世界で「日本」という国で平和に暮らしていたこと。
引きこもりニートという種族で、ゲームをするのと絵を描くのが趣味だったこと。
この世界に転生したこと、幼い頃から前世の記憶があったこと。皆に心配させないために、前世の記憶があることを隠していたこと。
一カ月前、ここが前世でプレイした乙女ゲームの世界で、自分が全ルートで断罪される悪役令息だと気づいたこと。このままだと三年後に王立学園の卒業パーティーで僕はクロリス・ザイドル嬢を襲った罪で断罪され、僕は国外追放され、レーヴィット公爵家はお取り潰しになることを話した。
三人は黙って僕の話を聞いてくれた。
皆眉間にしわを寄せ困惑した表情をしていた。当然だよね、こんな荒唐無稽な話誰も信じない。
頭がおかしくなったと思われるのがオチだ、でもそれでもいい。
家族に被害が及ぶならちゃんと知らせないと。レーヴィット公爵家に危険が及ぶことを理解してもらわないと。
「くそ……が!」
リーナがボソボソと言った。眉間に深いしわを作り、目は血走っていた。
やっぱりそういう反応になるよね。くそか……妹のリーナに言われるとショックだな。
「くそ共が……! 天真爛漫で純粋無垢なお兄様を罠にはめ、無理やり童貞を奪うなんて! 鬼畜の所業だわ!」
あれ? そういう解釈??
「許せん! か弱くて子供のように清らかなアルビーを密室に連れ込みそんな酷い仕打ちをするなんて! 首と胴体を斬り離してくれる!」
「ザイドル男爵家のクロリスですわね! 今すぐ貴族社会から抹殺しましょう!」
お父様とお母様が物騒な言葉を並べる。
「薄汚い貴族社会とふしだらな男爵令嬢からピュアなお兄様を守りましょう!!」
「いい事を言ったなリーナ! 家長として父としてお前を誇りに思うぞ!」
「そうよ、一致団結してアルビーを守りましょう!!」
僕を守ることで家族が団結した。
「みんな僕の言葉を信じてくれるの?」
三人が僕の手を掴む。
「もちろんですわ! お兄様!」
「当たり前だ! アルビー!」
「息子を信じない母親がどこにいるの?」
「みんな、ありがとう」
グスッ、また涙が込み上げてきた。涙腺緩みっぱなしだ。
「悪役令息に生まれてごめんね」
「何を言っているのですかお兄様! お兄様が未来の事を教えくださったから、お兄様を守れるし、対策がとれるのです!」
「そうだ! 未来が分からなければアルビーは男爵令嬢の毒牙にかかるところだった! 未来が分かっているならあとはそれを変えるだけだ!」
「はめつふらぐ〜〜? とやらをみんなで壊しましょう!」
家族の優しさが胸にしみる。抑えきれなくなった涙がボロボロと溢れる。
みんなが僕を抱きしめてくれた。
家族の一体感ていいなぁ。