十九話「お兄様はレーヴィット公爵家の光」
その後のことは皆様もご存知の通りです。
国王陛下を仲間に引き入れ、お兄様を王宮で保護していただき。
私はアルビーお兄様の代わりに王立学園に通い、ギャレン王子とザイドル嬢とそのお仲間との接触を避けつつ、彼らの動向を監視していました。
乙女ゲームのアルビー・レーヴィットが
ザイドル嬢を襲う日。
私は授業が終わり次第、秒で帰宅いたしました。もちろん陛下が付けてくださった護衛の方と一緒に。アリバイは完璧です。
後日陛下から、ザイドル嬢がブロック・ホーベルク、ビダン・ミューラー、ユード・モーリッツの三人と、今は使われていない理科室に入って行ったこと、二時間後ザイドル嬢がボロボロの状態で出てきたこと、しかし四人とも笑っていたこと。ザイドル嬢がギャレン王子にアルビー・レーヴィットに襲われたと泣きついたことを知らされました。
その話を聞いて私は唖然としました。
ザイドル嬢はどうしてもハーレムエンドを迎えたいようです。お兄様に襲われお腹に子が出来たと……虚偽の報告をしてでも。
残念ですが、あなたに用意されているのは破滅エンドだけだ。
卒業パーティーのアルビー・レーヴィットの断罪イベントで、陛下がギャレン王子とザイドル嬢とザイドル嬢の取り巻きのブロック・ホーベルク、ビダン・ミューラー、ユード・モーリッツの三人を断罪したときは胸がすかっとした!
これでお兄様が公爵家に帰って来れる!
昔のように家族四人で仲良く暮らせる!
お兄様がいない三年間、私たち家族はお兄様ロスに陥っていた。
お父様は仕事が手につかず、お母様は大好きだったお菓子が喉を通らず十キロやせた。
私も鏡を見るたびに息を吐く回数が増えた。鏡に映る自分はお兄様によく似ているのに、本物のお兄様ではない。
お兄様のいない三年間、レーヴィット公爵家は光が消えたようだった。
お兄様が公爵家に帰宅したのは、卒業パーティーの翌日。お兄様が帰って来るのが待ちきれず、お城に迎えに行ってしまった。
お兄様を目にしたら、衝動が抑えきれず抱きついてしまいました。
家族で抱き合い涙を流し、また家族で抱き合い涙を流し……これを五回ほど繰り返しました。
馬車の中でも家族で抱き合って帰りました。