十五話「チュール神」
お兄様は私の誕生日にも絵をプレゼントしてくださいました!
お兄様の描いてくださった絵なら、ペンペン草でも毛虫でも大切にします!
お兄様が私に描いてくださったのはチュール神の絵。チュール神は勇敢かつ冷静な軍神。
「リーナは剣術が好きだから、戦士の絵がいいかなと思って」
お兄様は私の好きなものを覚えていてくださいました。
必ずチュール神のような勇敢な武人になってみせます!
お兄様から頂いた絵は、私の一番の宝物になりました!
さらにお兄様は私の愛用の剣に「↑」のマークを二重に彫ってくださいました。
お兄様に尋ねたら「ルーン文字って言うんだけど……お守り……というよりおまじないかな」とおっしゃっていました。
「↑」は勝利のルーンで、剣に「↑」のマークを二重に彫ると剣にチュール神が宿り負けないそうです。
お兄様が「↑」のルーンを剣に刻んでくださってから、私は剣の勝負で負けた事がありません。
この剣を「チュール神の魔剣」と名付け、私の二番目の宝物にしました。
例え敗北を意味するルーンが彫られた剣だとしても、私は大切にしました。お兄様がくださったものはゴミでも、私には宝物です!
お兄様はそれからも「おまじない」と言って、ときおり私の持ち物にルーン文字を描いてくださいました。
お兄様がルーン文字を描いてくださったものは、全部私の宝物です!
ルーン文字が何か知ったのは王立学園の古い本を読んでいたとき。神話の神々とともにルーン文字の一部が書かれていました。
今はほとんど失われしまったルーン文字を、お兄様はどこでお知りになったのかしら?