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十二話「私から見たアルビーお兄様」


ーリーナ・レーヴィット視点ー



私の双子の兄のアルビー・レーヴィットは、幼い頃から普通の人とは少し違っていました。


アルビーお兄様は物静かな方で、ほとんどの時間を自室か庭園にある東屋で絵を描いて過ごしていた。


お兄様のまとう雰囲気は清らかで穏やかで。お兄様の側にいると森林浴や日光浴をしているように清々しい気持ちになり、とても癒やされるのです。


お兄様はブラウンの髪にエメラルドの瞳の持ち主で、その楚々とした笑顔は妖精のように愛らしい。


お兄様がほほ笑むだけで、幸せな気持ちになれる。


そんなアルビーお兄様が描かれているのは、天使や妖精や精霊など神秘的なもの。


お庭でお兄様が精霊の絵を描かれていたとき、絵と同じ姿をした精霊がお兄様の周りを飛んでいるのを目にしたことがある。

 

私には一瞬しか見えなかった精霊がお兄様には常時見えている? だから絵に描けるのか?


疑問に思いお兄様に尋ねたことがある。


「お兄様は精霊が見えるのですか?」


お兄様は私の問いに「リーナは可愛いことを言うんだね」と言って笑っていた。


上手くはぐらかされてしまった。いや人には言えないことなのかもしれない。これ以上は詮索しないでおこう。


お兄様の周りで不思議な生き物を見たのは私だけではない。お父様やお母様も、お兄様の周りに精霊や妖精のようなものが飛んでいたのを見たとおっしゃっていた。


お母様にいたっては精霊の声まで聞いたとか。


お母様の話によると、トカゲの絵を完成させたお兄様の肩に火をまとったトカゲがいて「ぼくを描いてくれてありがどう、この絵はもらってくね。お礼に加護を与えるよ」と言って姿を消したとか。


翌日トカゲの絵はなくなっていた。


火をまとったトカゲって……もしかして火の精霊ってサラマンダー?


そのトカゲの精霊はお兄様がトカゲの絵を描くたびに現れるらしく、次にお兄様がトカゲの絵を完成させたときは「またぼくを描いてくれたの? 嬉しいな。この子には加護を与えてしまったから、この子に似た女の子に加護を与えるよ」と言っていたらしい。


翌日お兄様の描いたトカゲの絵は消え、代わりに私は炎の魔法を使えるようになっていた。


お母様が見たのはサラマンダーだけだったが、お兄様はサラマンダーの他に、水の精霊ウンディーネや、風の精霊シルフや、土の精霊ノームも描いていた。


他にも鍛冶や工芸に優れたドワーフ、靴作りの妖精レプラコーンなども。


そしてそれらの絵は完成した翌日に消えていた。

 

もしかしなくても、お兄様はそれら全ての精霊の加護を受けている。


精霊の愛し子、妖精から愛されし者、神子、神に慈しまれし者……。


お兄様が誘拐されないように、このことは家族だけの秘密にした。



※※※ミーミル神は首だけ、イズンのりんごに不老の効果はあっても病を治す効果はない、バルドル神は弟のヘズに殺され、チュール神は右腕をフェンリルに食いちぎられた……神話のそういう細かいところは全部スルーしてください。(^_^;)



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