Episode.6 退職社畜の特訓結果とテンプレ展開
感想に装備やスキルの説明が見づらいとありましたので、詳しい説明を後書きに描くようにしました。
本文には簡易的な説明に変更しました。
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「まーた、変なの手に入ったよ」
取り敢えず自動的に手に入った防具を装備。ぱっと見でも性能が良かったからな。
まずは職業の説明を見る。
…えとえと、フーム。
戦士系の職業の人が刀系の装備を持って累計1500以上のダメージを稼ぐと変異するらしい。レベルは引き継ぎでステータスもそのままと。
次は装備。
♦[質素の袴]/特性:防刃・耐火/装備スキル:『質素の開花』
質素な柄、色の袴型の装備
♦[質素の籠手]/特性:防刃
質素な色味の籠手
♦[質素な空下駄]/特性:平面走行
『面』を走れるようになる質素な下駄
質素な袴は装備すると上半身部分が勝手に和装に切り替わるらしい。
「空下駄はチート過ぎるだろ」
壁を歩けるんだぜ?最近は俊敏力を鍛えているから立体機動とかもできるかもしれん。
それも練習…できそうにないからそういう場所を見つけないといけないが。
目が疲れて来たころだが次はスキルの説明だ。
♦抜刀
抜刀速度を俊敏量に依存したうえでダメージを二倍にする
♦刀剣術
刀剣で与えるダメージ20%上昇
♦間合い
自分を中心に間合い5メートル以内なら自由に図れる
♦居合
居合でのダメージ30%上昇
♦質素の開花
一分間ステータス全てが10%上昇。クールタイムは8分
「目が疲れた」
眉間を揉み込んでいるとあることを思いだす。
あ。ステータスポイント振り分けるのを忘れていた。練習に集中しすぎて忘れていたな。
まずは俊敏は必須だな。スキルにも俊敏力に速度が依存されるものがあるからな。
最初に俊敏力に20振り分けて、攻撃力に30、防御力に15、なけなしの抵抗力に5、振って終了。
今更だがHPとMPは職業の設定に合わせて勝手にレベルと同じく上がるらしい。
ステ振りも終わったし、あとは実践だな。
練習、特訓で型を作り、無駄を削り、完成形に来たら実践だ。
イイ感じの狩場ないかな~。
メニュー画面の掲示板から探してみる。
今のレベルよりちょっと上ぐらいの狩場があると良いな。
♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦
調べた結果、【惨酷峠】という名の物騒な場所が良いらしい。
「惨酷峠か。名前えげつないけどレベル的には15か。スキルを手に入れ、ステータスも上がった俺にはちょうどいいかもな」
目的地も決まったし、街を出る…と思ったが、回復アイテムを買っていかないといけない。大狼との戦いで回復アイテムを消費してしまったからな。
噴水広場を出て街の中へと潜る。
喧騒の中を歩いているとここが本当にゲームの中かと疑ってしまう。
つい、数年前までVRMMOなどSF小説の中だけだったのに、最近では大企業もVRとのコラボを開始している。
それに加え、アニメ化が難しいとされていたVRゲームも一般普及化に伴ってメジャー化と2Dゲーム化なども進んでいる。
このゲームも動画の録画が許可されていて、動画配信する人も多くいる。
そのお陰で公式公認の攻略サイトとかも開設された。本当に便利で面白い世界になったもんだ。
動画で思い出したが極振りが一時期、流行ったが俺はどうなのだろう?これは極振りと言えるのか。攻撃と俊敏とかを中心に振っているが防御にも振っているから違うか。
色々考えていると、目的地に到着する。
俺の目的地とは、独自のAIが搭載されたNPCや生産系の職業についたプレイヤーが商売をし店を開いたり、商店をやっている商店街。
通称、【第一商店街】。
第一の意味はバマルの他の街にもこの商店街に付随した場所があるから、とヘルプに描いてあった。
おっと、目的を忘れていた。
探すのは、ポーション系かクリスタル系の回復アイテムを販売している店。
ポーション系は液体状で安価、ポーチなどで携帯可能だが回復量が少ないというデメリットがある。俺が多量に回復出来ていたのはレベルが低かったからだ。
で、クリスタル型は、名前通りクリスタルで使用することで大幅な回復、特殊効果が見込めるが、設定的に壊れたり、素材対効果で高額だったりする。
俺は現在、所持金五万五〇〇〇メニー。買えるのは初級のポーションがだいたい五個か、クリスタル一個ぐらいかだ。
「あそこの店とか良い感じだな」
左右に立ち並ぶ商店の一点ならぬ一店に目を付ける。
赤ずきんに赤いエプロンを纏った可憐な少女が来客に向けて声を張っている。
あの子もNPCなのかな?
「やあ、こんにちわ」
「お兄さん、こんにちわ!」
挨拶をすると元気に返される。
いやー、若いっていいね。二十代が言っても説得力無いけど。
店の内部に少女の母親かと思われる女性がいる。
「HP回復系のポーションが欲しいんだけどあるかな?予算は五万メニー」
「五万メニー、かー。う~ん…」
頭を傾げて頬に指を添える姿はまさに可愛いの一言に尽きる。自然と表情筋が緩むのが分かる。
おい、なに見てんだよそこの戦士と魔法師。
「あっ!お母さんに聞けばいっか!」
少女の頭の上に白熱電球が浮かんだと思うと店奥で作業をしている女性に駆けて行くのを見送る。
最近のNPCは凄いな。初見でこの子がAIと見抜くのは至難だろう。
数十秒後、少女は女性となにかを話してこちらに来る。
「うちの娘が失礼しました」
茶髪ロングの女性がお辞儀をする。
少女に似て綺麗な方だ。
「私の名はリンダと申します。これをアリスと言います」
「むー!これじゃないもん!」
頬を膨らまして怒る少女…じゃなくてアリス。
「あのー…?」
二人を見ていたら返事が遅れてしまった。
「おっと、失礼しました。俺はバツと言います。よろしくお願いします」
「こちらこそ。それで、回復ポーションのお求めでしたね。こちらへどうぞ」
店内にある簡易なショーケースに案内される。
中には左から緑、黄色、紫色のポーションが置いてある。
「えー、こちらが左側からHP回復、麻痺回復、毒回復のポーションになります。値段はそれぞれ八〇〇〇、五〇〇〇、五五〇〇になります」
「そうですか…」
メニーは将来的に必要になるかもしれないし、ある程度残したい。しかし、状態異常のことは考えて無かった。
毒は継続ダメージ、麻痺は一定時間行動不可。どれも必要になるかもしれないから悩みどころだ。
ま、状態異常とか受けなきゃいいよな。(脳筋)
「HP回復を五個下さい」
「お代は四万メニーになります」
メニュー画面から支払う。
アイテム欄にポーションが追加される。
さて、惨酷峠に向かうとするか。
「それじゃあ、ありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」
社畜時代のペコペコしていたのを思い出した。一つ違うのはお互いに礼をしていることだが。
「いいからこっち来いよ!」
「いや!やめて!」
店を出ようとすると外から怒声と悲鳴が聞こえる。
あ、あれー?なんか既視感というかデジャブというか、お決まり展開の感じが…。
店外に目を向けると、アリスちゃんが戦士系のプレイヤー二人に腕を掴まれているのを見つける。
おっと、これは。
「すみません!」
リンダさんが急ぎ足でアリスちゃんの元へと急行する。
俺は様子見でいる。
「あんだよって美人さんはっけーん!」
「おっ、いい感じじゃーん」
チャラそうな二人はリンダさんにも目を付けたみたいだ。
「ちょっと遊ぼうよお姉さん」
「い、いやすみません。うちの娘がなにかしでかしたら謝りますから―――」
「それじゃちょっと遊ぼうよ」
「キャ!?」
いきなり肩を掴まれるリンダさん。
おっと、これは不味い展開になって来たな。
「お母さんを放せ!」
「んだよ、このガキ。お前はもういいよ」
チャラ男の片方が武器を持ち出す。
「おいおい、嘘だろ」
周りのNPCとプレイヤーも悲鳴を上げている。
もうこれは看過出来ないな。俺は駆け出した。
♦名称:[質素の袴]/特性:防刃・耐火/種類:和装/系統:和風/装備スキル:『素質の開花』/備考:質素な柄、色の袴型の装備
♦名称:[質素の籠手]/特性:防刃/種類:和装/系統:和風/装備スキル:なし/備考:質素な色味の籠手
♦名称:[質素な空下駄]/特性:平面走行/種類:和装/系統:和風/装備スキル:なし/備考:質素な木製の下駄。あらゆる平面を歩くことが出来る
♦名称:抜刀/種類:パッシブ/クールタイム:なし/取得条件:『抜剣』スキルの保持状態で一定の技術量を保持したまま抜刀で500ダメージを稼ぐ/効果:抜刀速度を俊敏力に依存したうえで抜刀速度とダメージを二倍にする
♦名称:刀剣術/種類:パッシブ/クールタイム:なし/取得条件:『剣術』スキルの保持状態で一定量の刀剣の熟練度/効果:刀剣系統武器を装備時にダメージ20%上昇
♦名称:間合い/種類:パッシブ/クールタイム:なし/取得条件:間合いに対する一定量の熟練度/効果:間合いを五メートル以内なら好きに図れる
♦名称:居合/種類:パッシブ/クールタイム:なし/取得条件:居合に対する一定量の熟練度/効果:居合でのダメージ30%上昇
♦名称:質素の開花/種類:アクティブ/クールタイム:8M/取得条件:[質素の袴]の装備/効果:一分間ステータスが10%上昇




