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退職社畜の抜刀記  作者: 陸神
第四章 和国【ルーシェ】
37/64

Episode.35 退職社畜の髪留め

【ログイン中】


「まずは参拝ですな」


 神社に来たのにお参りしないで帰るなんて勿体ない。

 目から離れる景色が名残惜しくも、対象を神社に変え、体の向きも変える。

 目視で確認できるだけでもNPCが三名。

 神社の管理をしている人たちなのだろう。

 正面に回り、皺が付いた袴を整え、刀をインベントリに入れておく。

 神様の前で、武器を所持するのは無礼だとかなんとか。

 神社を正面に滑らかな艶光りを見せる赤塗りの鳥居を(くぐ)り、賽銭箱の前へと赴く。まずは一礼。頭を上げると、ウィンドウ画面が出て、何メニーを賽銭箱に入れるか、表示が。

 どうしよっかな~。イベントでメニーは一〇〇万も貰った。

 資金で困ることは、なさそう。

 …。


「三万メニーくらい入れても罰当たらないでしょ」


 多いかな?

 チャリン!っていう金物が重なる音が鳴る。音が止んだら鈴から垂れてる鈴緒を揺らす。


 ―――カランコロン…カランコロン…カランコロン…―――


 転がる音が耳で反芻される。

 賽銭箱の正面から、横にズレて、二回お辞儀。拍手を二回。二礼二拍手。

 お祈りは、

 お金が欲しいです!可愛い彼女が欲しいです!ホワイトな就職先も欲しいです!美味しいものが食べたいです!皆が俺を尊敬しますように!それからそれから………。


「…」


 頼み過ぎたかもしれない。神様怒ってないといいな。

 深く一礼して、も一度小さく礼してから、神前から下がる。

 ふっふっふ。これが神社のでのマナーだよ。テレビの前の君たち、分かったかな?


「なんか買ってくか」


 神社の横には、小さな小屋が立っていて、お札とかお守りとか売ってるみたい。

 品ぞろえを覗いてみる。紅白のお守りや、蚯蚓(ミミズ)のたくった字が書かれ、判子が押された紙で包まれた木のお札。ウィンドウの説明を見ると、ステータス上昇や、属性ダメージの減衰などの効果。

 目線をすべらせ、値段札と商品を交互に見やる。

 装飾品の類いは、残り二枠も空いているから、二つとも買っても困らないけど、後々のことを考えると…むむ?

 ひと際、俺の眼を引く商品がありますな。

 それは、ヘアカフス型の髪留め。大きさは指輪よりも少し大きいぐらい。

 中に髪の毛を通して、一本にまとめる装飾。

 俺はロングヘア男子なので、女子力にも注意を払っているが、この装飾は、竜の刻印がされ、青石が嵌め込まれた、装飾物品。

 値段は、七七七七メニー。やけに縁起がいい数字。


「これください」

「七七七七メニーになります」

「どうぞ」

「ありがとうございます」


 画面からメニーを払って、受け取り、装備画面から、装飾品の欄に設定する。

 欄に、[碧色鉱石の竜細工髪留め]と表示される。


 ♦[碧色鉱石の竜細工髪留め]/特性:耐水・対物/装備スキル:『紺碧竜楯』

 碧色の鉱石が嵌め込まれた、竜の細工がなされた髪留め

 ♦紺碧竜楯

 竜が渦巻く、紺碧の盾を生みだす。クールタイムは10分


 キャラクタークリエイトの時に、設定していた、紐の髪留めが消えて、買った髪留めが纏める。ウィンドウで確認したら閉じて、展望台右部にある石階段へ行く。

 最後に、こちらを見ていた巫女さんに会釈をして、階段を下る。

 下りる途中で、スキルの説明を読み、ステータスポイントを振る。


 ♦立体機動

 立体機動に対する三次元駆動技術が向上する

 ♦調教術

 動物またはモンスターの調教に関する技術が向上する


 攻撃に5振って、俊敏に20、防御に5、魔攻に10。

 これで、また俺は強くなった(キメ顔)

 階段を一段飛ばしに下りる。良い子はマネしないでね。危ないから。

 まま、ステータスも強化されたし、割と戦闘が楽になるかも。

 みんなー、覚えてるー?

 戦士系特有の必殺ゲージ。忘れてたでしょ。俺も忘れてた。

 必殺ゲージは最大まで溜めると、個別に設定された武器の奥義が使えるんだけど。俺、今までで、一回しか使ったことない。俺が戦ってきたの強い人ばっかりで、使う暇ない。

 考えても見てくれ。一太刀でも浴びれば死ぬ、武者の攻撃を前に、わざわざ、技名叫んでられるか?無理だろ。文法の反語使った。俺頭いいー。

 ―――俊敏力を鍛えれば、余裕も生まれるのではないか!?

 という、安直な考えに至った次第でございます。スキルとの相性も含めてだったが、真面目にステータスビルド組んでる人達に申し訳なくなってきた。


「着いた」


 階段を下り切り、草原に降り立つ。

 ここまで来たら、残りは一キロもない。気力を抽出して、足を動かした。

 それはもう千切れんばかりに。HPが減ってる?物騒?御冗談を。

 温泉(目標)を前に俺にモチベーションが上がりっぱなし。

 ぐんぐん距離が縮まり、道筋いた人骨のモンスター、スケルトンをヤクザキックで粉砕して、門前まで来る。

 バマルやエマキナの金属製の街門とは一風変わった、木造の門。羅生門みたい。

 さてさて、着いたし、存分に休みますか。

 ルーシェ、どれほどの街か。

♦名称:立体機動/種類:パッシブ/クールタイム:なし/取得条件:一定以上の三次元的な機動能力/効果:立体機動に対する三次元駆動技術が向上する

♦名称:調教術/種類:パッシブ/クールタイム:なし/取得条件:動物またはモンスターの躾に関する熟練度取得/効果:動物またはモンスターの調教に関する技術が向上する

♦名称:[碧色鉱石の竜細工髪留め]/特性:耐水・対物/種類:ヘアカフス/系統:髪留め/装備スキル:『紺碧竜楯』/備考:碧色の鉱石が嵌め込まれた、竜の細工がなされた髪留め

♦名称:紺碧竜楯/種類:アクティブ/クールタイム:10m/取得条件:[碧色鉱石の竜細工髪留め]の装備/効果:竜が渦巻く、紺碧の盾を生みだす

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