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退職社畜の抜刀記  作者: 陸神
第三章 【トライアングル・ガード】
34/64

Episode.32 退職社畜の旅行計画?

【100万PV突破!】

やっとこさ、ここで一区切りつきます。

ほかの作品で言う、一章終了とかそんな感じでしょうか?

【ログイン中】


『勝者の【山城砦】陣営には報酬として一〇〇万メニーが与えられます』


やった!これでしばらく金策に困らないな。


『そして、運営班一同から勝者プレイヤーへお言葉があります。えーっと…「これじゃ、【山城砦】じゃなくて【山賊砦】じゃね?(笑)」…だそうです。では、これにてLegend・Fantasy・On-line内公式イベントを終了致します。これからもLFOの世界をお楽しみ下さい』


は?誰が山賊だよ。

他のプレイヤーなら、どうあれ俺は違うだろ!?

ライダー?あいつは元凶だっから。うん。知らない。

BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!

周辺のプレイヤーからブーイングが飛んでいる。

チラホラ、見たことがあるプレイヤー達。同じ【山城砦】だった人達だ。

俺が山賊呼ばわりされんのはまことに遺憾だが、あいつらなら良いや。

メニュー画面を開いて、一〇〇万メニーが振り込まれていることを確認して、エイラのマイホーム兼工房へ向かう。

イベントに参加していたと思われるプレイヤーはそれぞれの表情を浮かべ、体現している。ガッツポーズをしている人や嘆いている人、打ち上げに行くとかそんな話をしているパーティー。

元気だなー。

最近は忙しくて、過労で倒れそうだよ。楽しいけど。


「っと。到着」


販売を行っている工房から中に入り、以前顔見知りになったクラン員に話を通して中に入る。地下の広い工房を先導してもらい、エイラを含めて数人が作業している場所へ着く。

熱中してるし、終わるまで待つことにしよう。


………。


待つこと二十数分。

作業を終えた一行が息ついて休憩している。

造っていたのは、俺が持っている改造刀に類似した銃。


「もしかしてだが、もう注文が来たのか?」

「その通りさね。バツのお陰で注文がバンバン来てね!ホント嬉しい限りだよ!」

「良かったな。でも、そんなに注目するもんかねー」

「そりゃ当たり前だよ。アンタのは特別製で威力も桁違いだけど、劣化版でも十分強力。しかもこの武器のお陰で一部の【魔法師】系の職業なら前線で戦えることも証明できた。需要は大量、供給はいまアタシ等にある。値段も吊り上がって、注文も殺到。懐からあふれ出しそうなくらいだよ」


男勝りに笑いながらエイラは言う。

俺が改造刀のアイデアを提供して、エイラのクランが作製。

事前にエイラが情報を回す。滅多に武器を作らないエイラが手掛けた武器として、注目を受けて、出来上がった改造刀を俺がイベントで存分に使い、広告塔の役割を果たす。

お分かりの通り、エイラに注文が来るってなわけ。


「さっきは劣化版の作製か?」

「うん?いいや、違う。さっきのは新しいシリーズの作成と造り方をほかのヤツラに教えてたんだ。新しい型は、レイピア型の小型拳銃弾発射できる改造剣さ」

「すでに新しいモンを造り始めていたとは」


エイラは鼻をフン、と鳴らし、豊かな胸を張る。

目は向けないようにしてるよ?

向けたら潰されそうだったんだもの。


「商売ってのは常に新しいものを取り入れ、需要を与えることで成り立つ。古いままだと進化できないからね」


クランの人がお茶を持ってきてくれたので、会釈して一口啜る。

…美味いな。良い茶葉使ってるのかな?

ゲームの世界でも味覚を楽しめるのは凄いことだ。

前にニュースで、味覚が無い人がVRで味を知って、号泣したとかいう記事を見た。

そうなると五感があるこのゲームは凄いんだな。

もう一口啜って、口を開く。


「殊勝なこって。…話を変えるが、教えてたってのは?」

「そンことねえ…誰にも言ってくれるなよ?バツ」


凄みを効かせて、エイラは顔を詰め寄る。

逆に顔を引いて頷いた。


「改造した剣、刀が造れるといっても、それはアタシの【銃匠】のスキルと自慢じゃあないが、アタシ自身の技術のお陰でね。アタシの補助無しだと造れるプレイヤーはうちのクランにいないんだよ。だから教えて作らせようってな話だ」

「へー…え?客って皆、エイラが造ってくれるから依頼してるんじゃ―――」

「言わなきゃバレないって!どうせ劣化版って言ってあるから大丈夫大丈夫!」


笑い続けるエイラ。

はあ…こんなんで良くクランマスターが務まるな。それも人望ゆえか。

茶菓子を齧る。…甘美味い。

最近、戦ってばかり。戦いに耽ると現実での生活が(おろそ)かになりがちになるから、


「……息抜きしたいなあ」


思わず口に出る。

でも、思い返せば、巨狼と戦って、屑のプレイヤーを降して、ハリネズミの首飛ばして、トッププレイヤーの首飛ばして、イベントの準備のためモンスターの首飛ばして、プロゲーマーと戦って、城ふっ飛ばして…。

大変だったなあ。もちろん楽しかったけど。

偶には、ゲームっぽい、ファンタジーなことしたいな。


「なにさね?ボーパル侍様は休暇をご所望かい?」

「ん?ああ…悪いな、最近戦いぱなしでな。少し疲れが溜まっているんだ」

「そうさねぇ…」


エイラは顎に手を当てて、悩む素振りを見せる。

秒で閃き、にかっと笑って俺に案を言う。


「じゃあ、和国に行って来たらどうさね?」

「和国?」

「そうさ。正式名称は【ルーシェ】なんだが、まあ、ざっくり言って和風の街だ。和国はプレイヤーから呼ばれているあだ名だ」

「和風の街…」

「あそこは、良い景色とか食い物もあるし、休息にはちょうど良い。イメージ的には京都だ」


良い景色と、美味い食い物…。

迷う余地なし!


「あんがとよ。行ってみるわ」

「これぐらいなんのその、さ。楽しんできたらいいさ」


俺はルーシェの情報を調べるために工房を出た。

さあ、冒険の始まりだ。


「これって冒険って言うのか?どっちかというと旅行計画?」

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