Episode.3 退職社畜のスキル獲得
後あと、二話か三話挟んだらタイトル回収したいです。
【ログイン中】
噴水広場を抜けて、街を出たすぐの場所。追記だが街の名前は【バマル】だった。
その名も【始まりの草原】。見たまんま草原。
俺の他にも初心者っぽいプレイヤーが何人かいる。
「うしっ。モンスター探しますか」
風が吹くたびにいっせいに揺れる草原を眺めながらモンスター探しをする。
オープンワールドと聞いていたがここまで広いとは思ってなかった。
ここは始まりの草原って名前だし低レベルプレイヤー用の狩場なんだろうな。
「あいつかな?」
そうこうしているうちに角の生えた兎のモンスターを発見する。
兎型のモンスターは俺に気づくと甲高い声を上げて突っ込んでくる。怖。
盾を構えて角を受け止める。そのまま剣で斬りつける。
モンスターの頭上にある緑のカウンターが三割ぐらい減った。
斬りつけた衝撃で吹き飛んだモンスターが起き上がろうとするがわざわざ待つ義理も無い。
近づいて剣でめった刺しにする。
数秒と待たずにバーカウンターが無くなり、兎型モンスターはポリゴン粒子になって消える。
倒したモンスターの素材がインベントリに送られているのを確認する。
このゲームではグロ設定も設定できるが、俺は安全設定にしている。
グロ系はダメではないが進んで見たいとは思わないしな。
《レベルが1上がりました!ステータスポイントを10振り分けてください》
レベルが上がったみたいだ。
ステータスのどれかに10の数だけ振り分けられるらしい。
自分でレベルを上げて自分で強化できるのは良いな。まさにオリジナルキャラクターを作ってるみたいだ。
振り分けは…【戦士】の路線で行くし、攻撃力と防御力に3、速度に4振り分ける。
速度に多く振った理由は単純に足が遅いからだ。
さっきもモンスターの攻撃を避けようと思ったが間に合わないと思って防御したからな。
次の獲物を探すと遠くに緑が生い茂げる山が目に入る。
あそこに行ってみるか。
モンスターのレベルが高くなっても上げてけばいいしな。
俺は進路方向を山に定めて行動を開始した。
♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦
「ハァッ!」
角を差し向けて突進してくる兎型モンスターを唐竹割して倒す。
「ふぅ」
レベルも4まで上がったし、兎も一撃で倒せるようになってきた。
現在俺は目指していた山の中腹にいる。
ここら辺に来ると猪型のモンスターや犬型のモンスターも出て来る。
あまり苦労しないで倒せているのは社畜時代の効率化の癖が影響していると思う。
社畜時代は兎に角、早く仕事を終わらせないといけなかったから仕事を効率化するために自分なりの簡単な方法に変換する癖があるからな。
猪型だと突進するのを横に回避して牙を切り落として終わりだし、犬型のモンスターだと口の中に剣を突っ込むと一撃で倒せる。
まあ悪いことはないから大丈夫だけど。
あの影は鹿かな?遠くに鹿の様な影を見る。
山頂の方だし行ってみるか。
追いかけると、そこには鹿型のモンスターが佇んでいた。
普通の鹿と違うのは角が透明なことだ。
キュィィィ!と甲高い鳴き声と共に角が赤く光り出して角の先端から火の玉が飛んで来る。
「うぉ!?」
変な声が出ながらも紙一重で避ける。
ファンタジーなモンスターが来た!これは手ごわそうだな。
また、鹿型モンスターが火の玉を放つ。
俺はその時にはもう走っていて上半身を捻って火の玉を避ける。右肩に熱を感じる。
「おおおお!」
掛け声を上げて、角に斬り掛かる。
こんなに分かりやすい弱点はないからな。
剣は大きく弾かれるが一割弱はHPを削っている。
《新スキル『スラッシュ』を取得しました》
新しいスキルを覚えたみたいだ。
今は距離を取って後退している。鹿も警戒して中々距離を詰めてこない。
火の玉を使ってこない辺り、回数制限かプレイヤーみたいにMPがあるのかもしれない。
いい機会だ。スキルを試してみようじゃないか。
「スラッシュ!」
距離を詰めて発動。
剣に光のエフェクトが纏わり付き、振り降ろす。
すると鹿のHPは三割強減る。
通常より強い攻撃をするスキルらしい。
「スラッシュ!…あれ?」
再発動しようとするが発動しない。
多分、再発動までにクールタイムがあるのだろう。視界の右上に時計のマークの上に20秒と出ている。
「ぐふっ!」
ぐだぐだしてると角で薙ぎ払われる。
お腹に衝撃が走って、HPが二割程削れる。
油断大敵だな。
「オラッ!」
手近にある角を掴んで根元を執念深く斬り続ける。
反撃を受けながらも鹿型モンスターのHPはどんどん減って…。
「スラッシュっ!」
モンスターは粒子になって消える。
《レベルが1上がりました。ステータスポイントを10振り分けてください》
《新スキル『エアスラッシュ』を取得しました》
レベルも上がったしスキルも手に入った。
スキルの説明を確認する。
♦スラッシュ
強力な斬撃を放つ。クールタイムは20秒
♦エアスラッシュ
俊敏力×2メートルの射程に刃渡り分の斬撃を飛ばす。クールタイムは40秒
「エアスラッシュの今の飛距離は要検証だな」
刃渡り分の斬撃を飛ばすのか。
今の剣じゃ少し短すぎるかもしれないな。
取り敢えず、山頂目指しますか。
あとー…どれくらいかは分からんけど。
戦闘を終えた俺は山頂を目指して登り始めた。
♦名称:スラッシュ/種類:アクティブ/クールタイム:20s/取得条件:自分より防御が高い相手のHPを二割以上削る/効果:強力な攻撃を放つ/攻撃範囲:装備している刃の刃渡り分
♦名称:エアスラッシュ/種類:アクティブ/クールタイム:40s/取得条件:LV5になる/効果:剣を振った方向に刃渡り分の斬撃を飛ばす/攻撃範囲:俊敏力×2メートル