表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
退職社畜の抜刀記  作者: 陸神
第三章 【トライアングル・ガード】
27/64

Episode.26 退職社畜の【山城砦】防衛

【ログイン中】


「人多いなぁ…」


転送先は城の中…と分かったが人が多すぎて全貌が見えない。

天井を見上げると木造の造りで、土臭い匂いもしている。

人の波を掻き分けて、近くの格子が嵌められた窓を見ると…高度まあまあ。

俺が転送された城は【山城砦】で間違いない。木々が切れている地表とを見るに、標高は‥‥二百メートルぐらいかな?

木の生え具合は、上から見て視界が塞がれる程。高さは五メートルほど。こちら側の斜面は射角が結構あるように思える。やはり【山城砦】ということ。

視線を感じる。周囲の人間が俺を見ていることに気づく。

自分の格好は、和服。噂によると高レベルの街でしか手に入らないらしい。

俺は高レベルのプレイヤーと思われてる?

悪い冗談だ。

インベントリから外套を取り出して羽織る。

付属されたフードを被る。

エマキナで手に入れた装飾装備。

多少の迷彩効果の装備スキルが付いている。

黒の外套羽織った男にしか見えない。

やがて視線は遠のいていく。良かった。注目されんのはあまり好きでは無い。

何故なら―――


「おい!皆聞いてくれ!リーダーを決めないか!」


こうなるからだ。

声を出した男性は見るからに高額・高レベルの装備。

トッププレイヤー、またはそれに準ずるプレイヤーだろう。

このような、確実にリーダーが設定されていない事柄では、まず中心核となる頭から決めていくものだ。

しかもLFOは完全に実力がレベルに追随する。トッププレイヤーが弱モンスターを狩った所で入る経験値は1%にも満たないから。

攻城戦でこの決め方は据えかねるがな。

レベルが高いの一言で決めてしまっては、指揮系統が成り立たないと思われる。

ソロプレイヤーがこんな数百人から数千人から成る、軍勢を指揮するのは無理があるだろう?

当たり前だが、現代で軍団指揮なんてできようもない。

俺自身も【侍大将】なんて職に就いているがやりたくもない。

そんでもって、頭を決めたら組頭…中間管理職を決める。

お次に、職ごとに選別、歩兵部隊や、遠距離攻撃部隊などを作ってくのが定石。

もっと言えば、選別したプレイヤーを数人で組ませて、小隊を形成。防衛地点や箇所、攻勢部隊などを組むと、グッド。

申し出るつもりは毛頭ないけど。

せめて、信用できる奴…とまではいかないくても、クランの経営やパーティーリーダーをしているものがなってくれれば。

正直、この間にも他の所属プレイヤーはおんなじことをしているか、すでに攻めてきている可能性もなきにしもあらず。

ソロプレイ、パーティープレイしてるプレイヤーなら既に攻めて来ていても可笑(おか)しくない。決定権は自身か、仲間たちで独自決定できるから。同じ陣営になってればな。

俺も指示されるより、好きに動いて戦いたい。

いわば、独立遊撃兵。


「オレ様が仕切らせてもらってもいいか?」


考えに耽ていた俺の鼓膜に震動する聞きなれた声。

ハッとして向くと、ジャケットに身を包んだ、男が台座に上っている。ライダー。

親友(アイツ)とは(ことごと)く縁があるようだ。

台座に上って、一段と高い視界から見下ろしたライダーは迷わず俺のいる方を見る。目が合う。ニヤリと笑って顎をしゃくった。

眼が語っている。


―――行けよ。相棒!


ああ、そうかよ…カッコいいじゃねえかよ、オイ!

俺は人混みを抜けて、戸から外に飛び出る。

出たその時に、上の方に簡易的な地図が現れる。

俺を中心起点としたマップ。【西洋城】と【和城】

ちょうどいい。地形を確認。

振り返ると、本陣となる三階建ての屋敷。

そして本陣を囲むように門と外壁がそびえている。

外壁の高さは、俺三人分ほど。五.四メートルほどか。上には更に積まれた物見櫓と矢倉が数棟。弓士台や矢避けもある。

外壁に飛び乗って、【山城砦】付近を見る。

木で作った杭の障害物、落とし穴、泥水、罠の数々に妨害物は勿論、この城の一番の特徴はその斜角。斜角が高いから射線は俺達陣営に有利。しかも木々が生い茂り、視界は悪質。罠の相乗効果も見られ、そう簡単に上れない。

守りやすいが、攻めづらいと評したところか。

俺は外壁から木の上に跳び乗る。

木の上に居れば、罠に掛からないし、敵勢力による逆襲撃の可能性が低下。俺側からの遊撃も掛けやすい。

枝の間を縫って飛び移る。

外套とボーパル侍の効果が相まって、見つかることは早々ない。

お団子ちゃんみたいな索敵系スキル持ちでも簡単には見抜けない。

山頂の本陣から離れてく。が、本陣を中心に置いて、山外周をぐるぐると見回っている。

索敵ミスには気を付けなければ。足場が安定しない泥が所々にあって、小枝や枯れ葉も大量。見逃しはあっても聞き逃しは無いと思う。

山中エリアだから小回りが利く、餓狼刀を装備。他の武器はインベントリで睡眠中。


「発見」


陣地に入って数十メートルの場所。四人組の男女。

罠に気を付けている辺り、一回は掛かったのかな?

周囲も警戒しているとこは評価点上がるわ。

容赦はしないけど。

手始めに、索敵系スキルが手に入りやすいと聞き及んでいる弓使いの彼から。


「……空破斬」


角度を調整した斬撃は斜め上から音も無く飛び、弓使いのうなじに当たって…


「え…?」


首を落とした。首狩りとボーパル侍の重ね掛け。刀剣術も地味に効いてる。

間抜けな声を漏らした弓使いは消えて、残された三人も放心状態。

素早く納刀して、木の幹を蹴る。

近くの木を更に蹴って加速。数回繰り返し、接近。

生い茂った葉で山木は光を通さない。様相はまるで森。

薄暗く、スキルの効果を合わせたら視認は困難。

火力持ちの厄介そうな【魔法師】の女性を跳び通り過ぎ様に一閃。

首が落ちる。

進行方向の木に着地。空下駄はやりすぎ公式チートだと思います。

体を捻って、足場の木からして垂直跳躍。

刀を突き出して剣士男の心臓を一突き。回転が加わった凶悪な突きは剣士男を一撃死させる。

残りは一瞬の出来事に困惑している盗賊風の女子。


「悪いねえ。こんなことしたくないけど敵なら仕方ないし」

「みんなの(かたき)っ!」


逆上した女子が短剣を振りかぶる。

お兄さんが悪役みたいじゃないか。相手からしたら普通に悪役か。


「両断」


頭から一刀両断。

左右に割れてくモーションがグロい。断面がポリゴン構成なのが尚更。

納刀。

一息ついて、木に登る。急がねばならぬ。パーティーが一つあるだけで他のプレイヤーが攻めて来ている確率が急上昇する。

俺は防衛のために森の中へと消えた。


………ラノベっぽくね?このセリフ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ