Episode.16 退職社畜の友情・別視点/弐
何か書いてみたかったシーンです。
私は読んでて悶絶しました。皆様も悶絶して下さい。
―――
※作品での大幅な設定変更が二つあります。
一つ目は装備の[質素の袴・上下]に関してのご指摘を頂きました。設定を大幅に変更し、[質素の袴]に名称を変更。上半身部分を和装にするという設定にしました。
変更点の二つ目は装備の[餓狼の大太刀]です。
太刀は刃が下向きになってるので手を返さないと抜刀攻撃できないらしいのです。
マジで驚きでした…。浅はかですみません…。
ここに関しましては、運営の「適当な設定」という設定を活用して、何故か、刃を上向きにしました。この設定は次の話で書きたいと思っています。
気になりましたらご確認いただければ、これからの作品を読んで下さるにあたって違和感がないと思います。
これからもこの作品をよろしくお願いします。
【ログイン中】
「えー、あー、多分だが俺のスキルのせいだわ」
「相棒、どういうことだ?」
ガイチ君の首が空高く舞って落ちてこないな~と思っているとこの現状に心当たりが。
ライダーに説明しようとすると、空から何かが落ちて来る。
「おい、これどうなってんだ?僕の体が目の前にあるぞ」
「あ…お帰りー。ガイチ君」
「お帰りじゃねえよ!どうなってんだよおっさん!」
何回転もして落ちて来たのはガイチ君の首だった。
この謎の現象の正体は“ワン・サドンデス”のルールではHPが無くなる攻撃を受けると強制的にHPが1になって、決闘が終了するはずなんだが…。そう考えると目の前の光景はどう考えてもおかしいよな。
だって、首が取れてるならデスペナルティを受けるはずだし。
でも、生きてるし、首は落ちてるのに喋っているし、HPバーは無くなってるし。
「それはなあ、多分だが俺のスキルの『首狩り』ってやつのせいでな」
「オイコラ!僕の話を聞けーっ!」
「ブッ!お前ソレ、面白過ぎるって(笑)」
「グレイ!笑うな!」
ちょっと騒がしいが聞こえるし、まあいいだろう。
俺はライダーにガイチ君の首ちょんぱ事件の説明をする。
「『首狩り』は首付近へのダメージを増加させるスキルでな。この副次効果が…まあ…なんだ…その…ガイチの今の状況だ」
「はぁーーー…」
ライダーは呆れたような顔で、溜め息をながーく吐いた。
他の連中はガヤガヤと騒いでいる…というかガイチを煽っている。
「だってよー、ガイチ。良かったな、滅多に味わえない経験出来て。デュラハンだぞ?デュラハン。」
「あんたそれっ、体も動いてるしっ、プークスクスwww」
「シュリアまでっ!」
「うわっ、体動いてます…キモ」
「グハッ!」
「おい、シャーロット!ガイチが死んだぞ」
「それはキツイわ。さすがシャロ、ナチュラルに殺しにかかってるわ」
「…大丈夫か?」
若者たちは賑やかにしてるし、俺達はお暇させて頂こうかな。
ライダーは既にバイクを出して、後部座席を顎でクイっとやってる。…なにあれカッコいい。
「俺達は行かせてもらうよ」
「ああじゃあな」
「待て!いや、待って下さい!僕の現状をどうにか…」
「ライダーしゅっぱーつ」
「進行するぜ相棒!」
「待てーッ!」
ハッハッハ。声が変わって聞こえるぜ。ドップラー効果だっけな?
首は俺のせいじゃない。きっと。だって、スキルのせいだから(スキル取得したの俺)。
「また、会ったら。今度は闘いてえな」
「どっちが勝つんでしょうかね…」
「それよりも僕の体がっ、首がっ―――」
きっと彼は強く生きていくだろう…。多分!
拠点とバマルの街への帰路での出来事。
時間帯はとっくに夕刻に迫り、現実よりも長く引き伸ばされているはずの電脳世界でも日の入りの時間帯。
帰り道は、ダンジョン内部と同じく草木一つない。枯れ木が何本か乱間隔で設置されている。
夕日で真っ赤になった機体を見ていると運転席から音が飛ぶ。
「もはや驚かん、とは思っていたが相棒はとことんオレ様を驚かせてくれるな」
「だろ?俺はエンターテイナーだからな」
後部座席で快活に答える。
ライダーも声が楽しげだ。
思うと、ライダーとはたった数時間の付き合いだ。なのにこんなにも親しくなってる。相性が良いと言う奴だ。
「なあ、ライダー」
「何だ?相棒」
「俺達って友達だよな」
「…」
中学を出て、高校を出て、IT系の専門学校へ行った。
それから就職活動を始めて…挫折。
やっとこさ、入った会社はブラック企業。仕事が忙しいと言って友人との交友関係が悪化して、会社を辞めて、社内に同じ苦しみを持っていた同僚や後輩を置いて。
今や俺は、この世界で遊んでいる。
俺はそれでもこいつを相棒と、友達といっていいのだろうか?
ライダーはバイクの速度を緩めて、帰りの道すがら止まった。
そして振り向いて、俺と目が合う。
和装とライダージャケットの男同士が見つめ合う。そんな、普通の人が見たらBLを思い浮かべる様な誰得の状況下だが、不思議と俺は落ち着いていた。
目の前のジャケット姿の奴はニヒルな柔らかい笑みを浮かべて、口を開く。
「親友だ」
「…ああ、そうだな…」
「「……」」
雰囲気で何となく了承したが、二十五にもなってめちゃくちゃ恥ずかしい気分だ。
アオハルかよ!何が、「そうだな…」だよ!?あーッ!恥ずかしい…!
内心、悶絶していると、ふとあることに気づく。
目の前のお方も顔が真っ赤な様な…。
「もしかして…照れてる?」
「いーや、断じて違う!ノーだ!」
「でも、顔真っ赤―――」
「これはっ…夕日のせいだ!行くぞっ、夜になれば強力なモンスターがポップするからな」
叫びながら、再発するライダー。
夕日で顔が真っ赤に見えていたのか、そうか。
でも、俺には後ろから見える耳が赤く見えるのだが…いや、これ以上にしておこう。男と男の友情ってやつだ。
「ははははは」
「? どうしたんだ、相棒」
「いやな、大の大人がこうして騒いでいると思うとな」
「そういえばそうだ。ふははははは」
笑った笑った。
久しぶりに笑った。
この世界はいいな。モンスターは怖いし、プレイヤーはどうしようもない奴等ばっかだが、ここには相棒がいるしな。
「またな」
「ああ。なんかあったら呼んでくれ」
俺はバマルまで行って、降ろしてもらった。街の門前から高速で走ってく。速いな。
ライダーの拠点は機械街とも言われる街、【エマキナ】らしい。今回のダンジョンクリアの件での特典武具も試してみたいらしい。
ライダー曰く、バイクの改造パーツらしいが…悪い予感がするんだよなー。
話してる時のあいつの顔が、途轍もなく悪い顔だったんだよなー。
これ以上にあのバイクが強くなると思うとゾッとする。
考えるのを止めた。
さて、明日はなにをしようかな?
「ログアウト」
《ログアウトします》
♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ ♦
【???】
―――何処かの場所。
「疲れたー。でも楽しかったー…」
ベッドの上で目覚める。
熱を含むヘルメットを外して部屋にほっぽる。
最近、LFOに嵌まりすぎて仕事中に眠いのが玉に瑕。…仕事と言ってもゲームのバグ発見とかの仕事だけど。
私は、前ごろにLFO…Legend・Fantasy・On-lineに夢中になって、色々やっていたのだがその時に助けた人達に、ゲーミングチームを立ち上げないかと誘われて…断ったのだけど。
だけどその人達にギルドだけでも仕切ってくれないかと言われて、勧誘にウンザリしてた私はノってみた。
ギルドメンバーの人達が頑張って広告や個人大会に出て、収入を得て来て、上納金と言って私にも賞金が幾ばくか得られて正直、ウハウハだったわ。
でも、やっぱりゲーム内での見た目が問題かしらね?
昔から男の子の格好がカッコよくて真似してみたかったんだけど、私の見た目じゃーねー…。
部屋の鏡を覗くと、茶髪ボブカットの美人さんが―――これ私だったぁ!
いつもこんな感じだけどゲームの中で口調を変えるのも意外と大変なのよね。
そういえばと、LFOで今日知り合った彼を思い出す。
最初は意味わかんない人と思ってたけど、意外と一緒に居て楽しくて、笑ってた。落とし穴でお姫様抱っこされた時はバレたかと思ったけどね。
ログアウト前の親友宣言を思い出す。
………、
「あ~~~何言ってたのわたし~~~」
枕に頭を突っ込んで唸る。
凄い恥ずかしい。物凄く恥ずかしい。
少年漫画で見たのを再現してみたのだけどすっごい恥ずかしかったわ。
「でも、どう考えても男って思ってるよねー…」
う~ん…。
名前と口調と恰好かな?
口調は乱暴ぽくして、格好はカッコいいジャケット。
「ライダーって名前、いいと思うんだけどね」
私は独り言ちた。




