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少しの人生の休息

作者: 水原 たか

 近くの公園に小川が流れている。

 そのほとりでポーッとしていると、背中から声を掛けられた。平日の昼日中に成人男性が川辺でじっとしてたら、そりゃまあ怪しいかもしれない。

 人生2度目の職質かと思いながら、下ろしていた腰を上げ、声の方を振り返った。


「もしかして、水草を探していますか?」

「へ?」

 思いもよらない言葉に声が裏がってしまった。

「もし水草に詳しいのなら、教えてもらえませんか?」

「、、、」

 どうやら、職質でもなければ、国家権力でもないようだ。

「あ、いや、水草は特別詳しくはないです」

 中学生ぐらいだろうか、丸メガネをかけた女の子が私の目の前にいた。

「えっと、学校か何かで探してるの?」

「そうです。フィールドワークで公園の生態調査をすることになって」

 明るい赤みがかった茶色の髪。少し、日本語がたどたどしい外国の女の子。

「おーい、なんかその人詳しいって?」

 後ろから日本人だと思われるこれまた中学生ぐらいの男の子が、こちらにやってきた。


 なんだかんだあって、三人で川辺でおしゃべりをした。ちなみに男の子は、中国からきた子だとわかった。

 公園の近くのアメリカスクールに通っているらしく、日本人はほとんどいないらしい。日本人はなんか変わってて面白いとか。アニメやゲームは将来に役に立たないけど、今生きるこの時の自分には役に立つ。など、わかるようなまったくわからんような、そんなたわいもない話をした。つまりは、暇つぶしには最高だ、、みたいなことなのだろう。


 30分ぐらいしてから、彼女らの担任の先生がやってきて、二人が突然英語で叱られた。何故か私もすごい高圧的な視線で牽制されていた。

 まあ、言わんとしていることは、なんとなくわかる。

「まぁ、先生。ここは国際交流ということで、手打ちにしましょう」と笑って私は言った。すると外国人らしい、肩を上げて宙を見回すような、あのおどけた反応を返してきた。そして、先生はしかめっ面で二人を自分の方に呼んで、来た道を戻っていった。


 アメリカ人中国人日本人。小さなサミットは、なかなか有意義な時間だった。川辺でぼーっとするのも捨て難いが、こういう出会いもまた捨て難い人生の醍醐味である一期一会かと思った。


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