07.恒例行事:お食事会
この食事会は、親友同士のお父様たちが学園を卒業後も定期的に2人でしていたものが始まり。いつしか2人はそれぞれ結婚をし、その食事会には妻も参加をするようになる。やがて子どもができるとその子ども達も参加をするようになり、現在のような形となった。
中に入ると、いつものようにハルお兄様の後ろに立ち隠れるように挨拶をする。照れがあることに変わりはないが、主な理由はそれではない。超美形一家と呼べるキラキラの塊(失礼)に対していつも怖気づいてしまうためだ。
「あはは。ソフィは相変わらずハルの後ろか」
「....ごきげんよう。ケニーお兄様」
何年経っても変わらない行動をする私を楽しそうに見ているのはリンのお兄さんのケニーお兄様。リンと同じコバルトブルー色の髪だが、リンとは違いくせ毛なのが特徴的。
「ケニーったら笑っていないで早く案内してあげて」
「よく来たね。さぁ早く席へ」
奥の方から声を掛けてきたのはケニーお兄様とリンのご両親。グランツ公爵と公爵夫人。
「リンもソフィちゃんもついに最上級生になったのね」
「はい、今年で学園も最後です」
「ハル、それ美味しいの?」
「食べてみる?」
「シーアさん、この前頂いたケーキ美味しかったです」
「リン君に喜んでもらえたなら嬉しいわ」
この通称:キラキラお食事会は、堅苦しいマナーとかはなく、基本的に自由でみんな自由に会話を楽しんでいる。
食事が済むと、親同士・子同士と2つに分かれ、再び話が盛り上がる。最近あったこと、面白かったこと。しかし、実を言うと私はこの時間が一番苦手なのだ。
理由は簡単。子同士の集まりとなると、リンとそのお兄様、私のお兄様との4人になる。キラキラ空間に私ひとり。い た た ま れ な い 。
「ケニー兄さん見て。ソフィアが死にそうな顔をしている」
「早く帰りたい、って顔に書いてあるね」
「...ハルお兄様、この兄弟はひどい方たちですわね」
「ふっ。はいはい」
軽く相槌を返すと私の頭をポンポンとする
ハルお兄様。キラキラな人間のポンポンの破壊力は凄まじ....じゃなくて、私の扱いが雑ですね。
しばらくして親同士の会話にようやくキリが付いたのか、両親たちがこちらに来てくれたことでこのキラキラ3人衆(うち1名兄)からも解放され、ようやくまちに待った“帰宅”という光が見えてきたのだった。
「じゃあねソフィア。また明日」
「えぇ、また明日」
このお食事会があった日はソフィアはキラキラダメージ受けまくりでHPはほぼなくなってしまうのです。