02.ちょっと有名(?)な幼馴染み
午前中の授業が終わればランチタイム。セレナと一緒にテラスへと向かう。このテラスではカフェで購入したものを食べたり、家から持参したものを食べたりできる。向うのは2人でたが、食べるときにはなぜかいつももう1人加わる。
いつも座る席はテラスの中でも周りよりひときわ死角になっている位置なので、たとえ誰かがこちらにきたとしてもすぐには気づけない。
一部を除き。
「あら、どうやら来たみたいね」
「毎度思うけど、この歓声ってセンサーみたいに感じる」
この死角スペースに座っているから、他の誰かが来てもわからないにも関わらずそんな考え方を覆すコトがこのランチタイム中に起きる。
ここからは見えないどこかで、突然聞こえてくるのは女子生徒たちの溜め息にも近い黄色い悲鳴。
入学した頃は何事かと席を離れて見に行ったこともあったけれど、原因がわかると不覚にも納得してしまった。
まぁ、6年にもなれば(嫌でも)慣れるし、そのセンサーのごとき黄色い悲鳴の原因である人物は当たり前のようにこちらへ来る。
「ごめん。迷子の生徒がいて案内していたら遅れた」
ネイビーブルーのサラサラとした髪をなびかせているこのキラキラは「騎士科」に通う幼馴染みの、リグレーン・グランツ。
このトップレベルなキラキラと、セレナより巨大な力を持っている公爵家の令息なもんだから、学院内で知らない者は居ない(と思う)し、大勢の女子生徒を夢中にさせている。
「待ってはいなかったよ」と危うく口にしそうになったのを察してか、セレナが先に口を開いた。
「はやくも1年生の子たちの人気を得たのね」
「うんうん。私の幼馴染みは年々力を増していくのよ」
「はいはい。人を悪魔のように言わないこと。それより早くご飯にしよう」
「あながち間違いではないと思うんだけどなー」と内心呟く。力の強い魔族ほど顔が良いみたいなね。
ところで何故あのような教訓を掲げている私が、その部類の幼馴染みと一緒にいるかといえば、これにはワケがあったりもする。
セレナの言うイケメン(キラキラ)とソフィアの言うキラキラは意味に違いはないです。
含みのある言い方かの違いでしょうか。