0.前世の記憶を思い出しました
私、ソフィア・レラルドが前世の記憶を思い出したのは5歳の時だった。かといってそれは『悪役令嬢』でもなければ『特別な使命』があったわけでもない。ただ普通にニホンジンとして生きていたという記憶だった。
それはいつもと変わらない、ただ普通に寝た日。まるで夢を見ているかのように、前世の記憶が頭に流れ込んできた。
突然思い出した記憶によれば、前世の私は恋多き女で、判断基準は性格よりも顔。つまりは顔を重視に好きになることが多かった。
きっとそれが悪かったのだろう。好きになった人・付き合った人たちのほとんどが「イケメン」と呼ばれる部類だったにも関わらず、良い恋だったと呼べるものは少なかった。
つまり嫌な思い出というものが多く、この記憶を思い出した時私の中でイケメンに対する考えが変わった。
例えるならそれは『綺麗な薔薇には棘がある』的な考え方で、今世で私はそれを教訓に生きていこうと決めた。
──────イケメン(キラキラ人間)は遠くで眺められれば十分だと。
そしていつか私には、その教訓の所為なのかイケメンに対してイケメンに対する苦手意識のようなものが生まれたのだった。