プロローグ
初投稿・処女作です、ほそぼそとやっていきますのでお願いします。
「これにて、第100351代、知識神アステールの全能神昇格式を終了する。」
と、第103代全能神メルトが言うと、一斉に拍手が起こった。
「アステール様お目等ございます!」と、まっさきに飛んで来たのは、知識神親衛天使隊隊長のアヌムだった。
それを皮切りに一斉に親衛天使隊の天使達や、他の全能神たちが祝福の言葉を投げかける。
「ありがとうございます、これも皆さんのおかげです。」
そんな定型文のような言葉をいったのは、先ほど行われていた昇格式の主役である、アステールであったが。
「おいおい、そんな似合わねぇセリフつかうなよ。」
「ああ、ダンケか、やっぱりそうだよな。」
そんな、アステールに対して粗暴な口調で失礼なことを言ったのは、巨漢で筋骨隆々の100346代武術神ダンケであった。
しかし、その言葉にアステールは気にした様子もなく、むしろ肯定してみせた。
本来アステールは軽く、敬語を使う相手は両手で足りるほどしかいない。ので、粗暴なダンケとも非常に気が合い、同期というのもあって、友人付き合いをしていた。
「んじゃ、主役さんよ、この後は・・・わかってるよな?」
ダンケがアステールと肩をくんでそう言うと、
「そうだな。というわけで!今日は盛大に飲むぞー!」「「「オォー!」」」
そんな、アステールの言葉に、その場にいたほぼ全員が歓声を挙げた。
そんなこんなで宴が始まり。
「アステールさん、これ、私も参加していいんでしょうか・・」
遠慮がちに声をかけたのは、アステールの次の代の知識神を務める、麻色の髪の色をした17,8程度の美少女、リーニアである。
実は、アステールの昇格式の前に、リーニアの就任式があった。通常、神が代替わりをするときは、その前に適正のある人間を探してきて次の代を任せるのだ。その例にアステールも漏れず、こうしてリーニアを、探してきたわけだ。
「おう、いいぞ。それよりもここで顔うっとけば得するからな。なんか、特技でもやったらいい。」
「そんなの、出来ませんよ・・・」
「おおー、リーニアちゃんはかわいいねぇ~。」
「うぅ~・・・」
「ダンケ、もう酔ってるんですか、いいかげんにしなさいよ。」
リーニアに対して助言をしたアステールだったが、リーニアは、本来こういったことは苦手であった。
それを見た、酔っぱらったダンケが余計なことをいい、さらにリーニアを縮こませる。
そんな、ダンケに声をかけたのは、ダンケより頭一つ分小さいが眼鏡をかけ、優男風の黒髪をした、100349代魔術神のノントだった。
アステールとダンケとノントは同期であるが、数が違うのは、神は悪事を働くと地上に堕とされる。神が悪事を働いて堕とされた場合は、その番号は消え、すぐに次の者に移されるため、数にずれがあるのだ。
「これ以上リーニアさんに、迷惑をかけないようにしましょう。さ、いきますよ。」
「おい、ノント~。イテッ、わーたから耳引っ張るな!」
ダンケがノントを連れて行き、その様子をアステールとリーニアが笑いながら見ていると、
「あいも変わらずやかましいのぉ。」
「103代様。」
人を割って登場したのは、50代後半ながら豊富な髪に威厳のある顔つきをした、アステールの昇格式を行った103代全能神メルトであった。メルトは今いる全能神の中で最古参の神であった。そのため、他の神は、尊敬と畏怖をこめて、「103代様」とよぶのだ。
「よいよい、そんな固くなるな、今宵の主役はおぬしじゃぞ。」
「ではお言葉に甘えさせていただきます。」
「そうするとよい。」
跪こうとしたアステールを、メルトがたしなめ、話がある、ときりだした。
「おぬし、人間に戻るつもりというのはまことか。」
「どこでそのはなしを?」
「そのようすは、まことなのじゃな・・・」
メルトが言う、人間に戻るというのは、神域から堕ちるということである。
そのことにアステールは一瞬目を開き、否定も肯定もしなかったが、永き時を生きているメルトには分かったようだった。
「本当にいいのか?もう神にはなれんのじゃぞ。」
「ええ、構いません。103代様からお誘い頂いた魔術創造部も興味はあるのですが・・・」
「いい、無理強いはせんと前にも言ったであろう。」
メルトは元魔術神であるため、魔術創造部なるものを作っていた。
そこは、読んで字のごとく新しい魔術を作る場所であり、そこには、他の元魔術神や、たまにであるが元知識神もいた。
「まぁ、おぬしも若いからの・・人間界に未練もあろう。」
「はい、103代様には、めをかけていただきましたが・・」
そこで、少し会話が止まる。
元々、堕ちるというのは、悪行をした神々が、強制的に人間に戻されることで、人間になると極端に弱くなってしまうのだ。
それを、例の魔術創造部が、人間だったときの強さのまま人間の戻す魔術を作ったのである。
これは、魔術創造部唯一の業績であるとかたりつがれている。閑話休題
この魔術により、人間に戻る神が圧倒的に増えたのである。
もちろん悪事を働いた神は元の手法で堕とされるが、そうでない者は新しい術式により、人間へと帰っていく。
「では、魔法陣を渡そう。」
「いえ、それにはおよびません。一度地上へ堕とす作業を拝見しましたのでおぼえております。」
「はぁ・・・ほんに、おぬしは優秀じゃの。」
再び会話を始めたメルトが、戻るための魔法陣をわたそうとするが、アステールの優秀さの前にメルトはただ苦笑するしかなかった。
「それで、いつ地上に戻るのじゃ?」
「明日の正午を予定しています。」
「ふむ、気を付けての。見送りにはいかせてもらう。」
「いえ・・それには及びません・・・」
「ハッハ、遠慮するのではない。」
「・・・?」
そういうと、メルトは歩いていった。その背中にアステールは「はい」と声をかけたが、その声にはいつもの敬意が込められていないように感じた。それを聞いたリーニアは、何がなんだかわからず首をかしげた。
--------翌日------正午---------
「それじゃ、皆元気で、リーニアと仲良くやるんだよ。」
「アステールさま~。やっぱり心変わりとかしませんか~。」
そうやって引き留めてきたのは、知識神親衛天使隊のアヌムであった。
[知識神親衛]というだけあって知識神の傍から離れることはできない。
「それに、こんな小娘と仲良くだなんてむりですよ」
「それどういうことですかっ!?」
が、急なアヌムの職務放棄宣言。
実は、アヌムは昔から居るのだが、アステール在任中にアステールの信者となってしまい、アステールが神域にいるならまだしも、地上に行ってしまうとなれば、仕事など手につかないようになってしまうのだ。
「おいおい、そんなこと言うな。ホントに頼むぞアヌムも、皆もな。」
「「「「は~い・・・」」」
そして、それは親衛天使隊全隊にひろがっている。
しかし、アステールの命令は絶対なので渋々ながらも従う。
「やはり、おぬしが居なくなるのは神域の損失じゃな。」
「103代様も、いまさらやめてください。それと、出来ればリーニアのことよろしくお願いします。」
次に、メルトが話かけてくる。
それに、アステールが返し後輩のことをついでに頼む。それにメルトは「任せよ」と返事をした。
「アステールさん!きっとアステールさんに恥じない働きをしますので、アステールさんもお元気で!」
「ああ、一応マニュアルとかは作ってあるけど分からないことがあればアヌムや103代様を頼れよ。」
「はいッ!」
リーニアは、これからの仕事の意気込みを語り、アステールが最後の注意をする。
「それじゃ皆元気で!」
他の神や天使達とあいさつを終えたアステールが、少し皆とはなれる。
すると、急に床が輝き魔法陣が現れた。それに皆感嘆の声をもらす。
「やはり、見事なものだ。知識神にしたのが勿体ないくらいじゃ。」
「きれい・・・」
「さすがはアステール様です。」
大規模な魔術は時間がかかるため、皆で術が発動するのをまっていた。
・・・・・・が。
突然、メルトの顔色が変わり声を上げた。
「アステール!おぬしっ、その魔法はっ・・・」
「やはり気づかれましたか。だから来てほしくなかったんですが・・・」
「何をしておるッ!早く術をとめん――――」
「残念、時間切れのようです。では、ご達者で――――」
突然のことに反応できない他の神々。
しかし、そんなことには構いもせず、アステールはその場から消えた。
「いったい何が・・・」
そんな、リーニアの言葉のみが響く。
その日、一人の神が神様をやめ、人間に戻った。
――――――神の力を保ったまま―――――




