見抜かれる
「好きです。付き合ってください」
上履きにラブレターなんてベタなことして
呼び出して。それでも来てくれるなんて優しい。
……なんて思ったのに。
「ふーん。で?」
「へ?」
見上げると顔色一つ変えない彼。
眠そうな顔でこっちを見つめている。
これは……失恋フラグ!?
「あのさ」
「な、なあに?」
ドギマギしながら答えると、
彼はゆっくり近づいてきた。
そしてふわりと大きな手で私の頬を包む。
じっと見つめられたので、負けじと見つめ返す。
「こんなことして楽しい?」
「は?」
「何人の男落とせるかってゲームしてるでしょ?」
今度はにっこり笑顔を見せる彼。
「告白してはちょっと付き合ってフってるみたいだしね」
「そんな……酷いです……私は……」
「ひどいのは君の方だと思うけどなあ」
頬を包んでいた手が、今度は頬を左右に伸ばす。
なんで、バレてるの?
動揺が隠せない。嘘泣きも発動できない。
「ちゃんと好きな人、出来るといいね」
それだけ言い残して彼は去っていった。
悔しい。今まで上手くいってたのに。
「……絶対落とす」
ゲームを続行するためにも。
私は決意を新たに彼のあとを追った。
このあと、本気になってしまうのも知らずに。