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戦う恋
あのこも、あの先輩も、かわいい後輩ちゃんも。
ううん、この学校だけじゃない。
隣の女子高の生徒、駅に溜まっている中学生。
みんなみんな、彼が好き。
優しくて、賢くて、運動神経抜群で。
非の打ち所がないから仕方ない。
弁当を渡す人、手作りのお菓子を渡す人、
さりげないボディタッチ、偶然装って
一緒に帰ろうする人。
みんな、いろんな技を繰り出してくる。
「せ、先輩! ちょっといいですか!?」
ほら、こうしている間にもまた一人。
今日だけでもう何人目だろう。
正攻法で彼女はくるつもりか。
嫌な顔をせずに彼は席を立って
女の子の元へと向かう。
「ごめんね。今は誰とも……」
そう言っていつも断ってるの、知ってるよ。
逃げたりせずにきちんと向き合って断る。
今は……じゃあいつかは彼も誰かと?
この学校だけじゃない。
ライバルはたくさんいる。
競争率はとんでもなく高い。
でも、勝ち抜かないと彼には届かない。
私だって、負けてられない。
戦わなくちゃ、勝ちはない。