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片想い
どくん。どくん。
あ、まただ。また胸が大きな音を立てている。
苦しいような、心地いいような。
グラウンドを全力疾走した後のように
鼓動が早くなっていく。
このままじゃ破裂しそうだ。どうしよう。
「おい、大丈夫か?」
差し伸ばされる手を見つめる。
「どうしたんだ? 熱でもあるのか?」
ゆっくりと額が覆われていく。
触れられたところが熱を帯びていく。
だめだよ、きっと火傷しちゃう。
どくん。どくん。
胸の音の大きさも、鼓動の早さも
今までで一番かもしれない。
「あんま無理するなよ」
そう言って君は私に笑いかける。
無理するな、なんて方が無理がある。
だって、私は君のことが全力で好きだから。