地味子と壁ドーン!
ドンっーーではなくドーンっ!!というほうが合っている。
「ねえ、本当にそう思っていたの?」
端正な顔でにこっと微笑む彼。
こんな状況でなければきっとときめいたはず。
「だ、だって君が私にこ、こく、告白なんて……」
「ん?」
「ひぃ!」
思わず目を背けると、彼の足が触れた壁は
少しばかりヒビが入ってしまっている。
壁ドンって足でやるものだっけ?
「そんなタチの悪いことするように見える?」
「ご、ごめんなさい」
「で、返事は? 俺もう一か月待ってるよ?」
そうか、彼に告白されてもう一か月か。
クラスでも人気者でモテる彼がなんで私に告白したのか、
これは私の中では高校の七不思議に認定してもいい
レベルの出来事だったわけで。
あの後何も言ってこなかったから冗談かもしくは
罰ゲームだったと思ってガッカリ……いやいや
ホッとしていたのに!!
まさかずっと返事を待っていたとは。
「あ、あの変なこと聞くけども」
「なに」
「どうして私なんですか」
「え? 長くなるけどいいの?」
え!? 長くなるほどなの!?
「笑顔が可愛いでしょー、いつも一生懸命でしょー、
家庭科の授業見る限り料理上手だし、謙虚だし
真面目だし、背が低い割に胸大きいし、たまーに
ドジやらかすのも可愛いし、毎日花の水入れ替え
率先してやってるの見て優しいなって思うし
それから……」
「ストップ! も、もういいです!!」
途中変なの混ざってた気がするけどこれ以上聞くと
恥ずかしくてたまらない。
私って目立たない部類に入ってると思うんだけどな。
そんな私のこと見てくれてる人がいたなんて信じられない。
「ねえ、こっち向いてよ」
足を下ろし、次は両手をついて壁に追い詰められる。
に、逃げられない……!!
「あ、あの友達からじゃダメでしょうか」
何を言ってるんだ私は。
こんな中途半端ダメに決まって
「いいよ。それでも」
いいの!?
「絶対好きにさせてみせるからね」
もう少しで唇がぶつかるんじゃないかってくらい
近づいて彼はそういった。
ーーだめだ、多分……いや、絶対好きになる。