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気が合いますね

「あっ」


二つの声と手が重なる。


図書室にある一番奥。作者順、な行の棚、上から2段目。


彼は少し手を上げて、私は背伸びして、


同じ本を手に取ろうとしていた。


「お先にどうぞ」


「いやいや、君の方こそ」


譲り合いが続き、最終的にはじゃんけん。


「あいこでしょ!」


「あいこでっーー」


なかなか決着がつかず、あいこがもう10回も続く。


「決まりませんね」


「本当に……気が合いますね」


彼の言葉に、私はおもわず笑ってしまった。


「夏目漱石、好きなんですか?」


「ええ、好きです」


私もです、と返すと次は彼が笑った。


「失礼致します」


図書館の人が返却されてきた本を棚に


戻しにやってきた。


借りようとした本の隙間に、本が差し込まれる。


「あっ」


「あっ」


私たちはまたしても同じように声を出す。


目の前には同じ本が二冊。


「ちょうどいいタイミングですね」


「本当に」


彼は左側の本を、私は右側の本を手に取る。


「来週また会うかもしれませんね」


「そうですね」


「会ったら本の感想でも語り合いませんか?」


「いいですね」



私たちは来週会えることを願いながら


貸し出しカウンターに向かった。

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