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「空」 第30話

こんな不毛な想像を頭に思い浮かべながら、時間を潰した。




煙草が3本目にかかった時、右耳の鼓膜に車のエンジン音が響いた。


姿は見えないが、かなり近い距離に思える。



(チッ、最近の車は静かで、よくわからないな)



正面の一方通行の出口から、こちらへ曲がってくるヘッドライトが見えた。



(来たか!!)



前に飛び出して車を止めようとした瞬間、異変に気付いた。



(・・・おかしい、・・・あのヘッドライト・・・、シーマより大きくないか・・・?)



その時、車の音が唸りをあげた。



(何!? 加速した? この細道でか???)



その車は、俺に目掛けて突っ込んで来た。



(細道だけに壁際に寄ってしまえば、スレスレで避けられる・・・、壁ごとぶつけてこようとしなければ・・・だが)



車は、俺スレスレで通り過ぎて行った。



(何!? 白いベンツ!?)



俺は焦った。


白いベンツは、間違いなく俺を狙っていた。


ぶつけられなくても、警告の意味では十分とれた。



(これ以上関わると、命は無いか・・・。 でもこんな家の前で狙うなんて、相手も焦っているのか・・・・・!? 宇宙〈そら〉に危険が迫っている!? そうか!! 茜もあのベンツに襲われた事があるのでは・・・。 それであんなに危機感を持っていたのか・・・)



白いベンツのナンバーを確認しようとしたが、黒いもので隠されているようだった。



(しかし、俺が狙われるという事は、俺の情報を相手は知っている? 葉子夫人か・・・、手を打つにしては早すぎるな。 それにもし葉子夫人であれば、さっき俺を抱き込もうとしたのが腑に落ちない。 俺が話しを断ったならまだしも、依頼を終わらせてなら手を組んでも良いと思わせている。 葉子夫人では無い・・・。 もし茜が襲われているとしたら、俺への依頼後・・・、昨日の夕方以降。 でもその後、俺が見張られている気配は無かった・・・・・。 今、考えても始まらないか・・・。 取り敢えず、守氏と東城氏に会ってみよう)



ブーーーン ブーーーン ブーーーン



携帯が自分を主張するように震えた。


携帯には解らないだろうに、何故か声をかけてしまう。



「解ったよ。 今出る」



携帯を開けてみると、茜からだった。



「はい。 不動です」


「茜です。 今、社長から電話がありまして、今日は帰れないと・・・。 あっ、あのー、という事なので、 あのー、さっき注文したのは、あのー、明日ではなく、明後日に、あのー、持ってきて下さい・・・」



(途中から喋り方が変わった。 葉子夫人が傍に居るのか・・・)



「守氏の件は了解した。 そのままで1つ聞かせてくれ。 茜さん、貴女は白いベンツに襲われた事があるな。 それも昨日の夕方に・・・」


「あのー、はい・・・」


「了解した。 また連絡する」



携帯を切った。



(やはりな。 相手は焦っている。 危険は伴うが、結構早めにカタがつくかもな)



取り敢えず、守氏には会えなくなったし、今日やる事はあと1つになった。 


電話をかける。



「はい! アイドルで~す」



男の声でこの喋り方は背筋が寒くなるが、我慢して声を出した。



「あのー、そちらの店は初めてなんですけど、どうしたら良いですか?」


「はい! 当店は明朗会計! 当店の事を何でお知りになりましたか~?」


「友達の紹介で、何か凄く可愛い娘がいるって聞いて・・・」



私は何も知りませんっていう話し方に、少し疲れた。




                    ・・・つづく


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