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「空」 第18話

「ありがとう・・・」




俺達は会計を済ませ店を後にした。


修は“御馳走様っス”と、頭を深々と下げ、手を振って走っていった。



(麗香に平井・・・、組に関係の無い5億・・・。 気になるな・・・)



携帯を開くと12時47分。


俺は携帯のNetページから"アイドル"のホームページを見つけ、女の子の出勤表を画面に出した。



(麗香・・・、れ・い・かっと・・・)



出勤表には、明日の出勤・・・17時~と書いてあった。



(今日は休みか・・・)



手帳に麗香の予定を書き込み、ホームページを閉じた・・・13時07分。



(よし!! そろそろ始めるか・・・)



午前中に茜の情報は洗えた。


それから、通学路の確認と宇宙〈そら〉が消えた時刻の絞り込み、その他の情報、ほぼ予定通りに進んでいた。


後は聞き込み。


楠木邸から学校までの通学路、消えた時間よりは少し早めだが、聞き込みはいつ何時どんな情報が出て来るか解らない・・・時間に余裕を持って始めた。


楠木邸の側にある公園でゲートボールをしているお爺ちゃんお婆ちゃん、配達をしている青年、ジョギングをしている娘さん、歩き回っているサラリーマン、ホームレスのおじさんなど、あれこれ聞いて回った。


聞き込みを始めて1時間ぐらいたった頃だろうか、学校から楠木邸に行く方向と逆に少し行った所にあるクリーニング屋のおばさんに話を聞いた。



「あ~ぁ、楠木の坊ちゃんね。 見たわよ・・・一昨日ね。 そぉ~ねぇ~、時間は4時ぐらいだったかしら・・・。 お屋敷と逆の歌舞伎町の方へ歩いて行ったわよ。 うちは楠木さんにはごひいきにして頂いてるんだけど、宇宙坊ちゃま・・・、制服を着たまま歌舞伎町の方へ行くから、おかしいなぁ~って思ったのよ」


「その時、宇宙君は誰かと一緒でした?」


「・・・そうそう、スーツを着た男の人・・・、一人は白髪混じりの・・・、もう一人はヤクザ風の人・・・。 この2人と歩いてた感じだったのよ・・・宇宙坊ちゃま。 でもね、私ちょっとしか見てないんだけど、坊ちゃん・・・振り返って話ししている顔が笑ってたから、知り合いかなぁなんて思ったのよ。 だって楠木さんってあんな職業でしょ」


「笑ってた・・・」


「そうなのよぅ。 凄く楽しそうだったわ、坊ちゃん・・・あっ、でも少ししか見てないのよ・・・私は・・・。 ・・・・・で、あそこの家、何かあったの?・・・ねぇ~」



こういうおばさんは、聞き込んでいる時は有り難いが、こちらの情報をうっかり流してしまうと、あっという間に町中に広まってしまう。


要は扱い方さえ間違えなければ、良い情報源という事だ。


"いや、何でもない"とありきたりの誤魔化し方をし、クリーニング屋を後にした。



(・・・家とは逆の方向に、ヤクザ風の男達2人と笑ながら歩いていた。 ・・・ヤクザ・・・風・・・。 ヤクザなのか?)



葉子夫人の話しが信憑性を帯びてきた形にはなったが、宇宙が笑顔というのが気にかかった。


どうやら、ヤクザに誘拐された訳ではないようだった。



(ヤクザとしたなら誰なのか? 組は? 哲さんが知らないという事は、暴力団ではないみたいだが・・・)



もう少し聞き込みの範囲を歌舞伎町方面に広げようと思い、明治通りあたりまで聞き込みをしながら歩いた。


だが、流石の楠木のお坊ちゃんも、ここまで来ると生活圏を外れているのか見ている人はおらず、新しい情報は得られなかった。


ただ、学生服を着た男の子と、セーラー服を着た女の子が随分話に出てきた。



(最近の餓鬼どもは、遊び回っていやがる・・・チッ)



情報が上手く得られなかったせいか餓鬼どもにあたってはみたが、昔を考えてみれば自分もそうだった事を思い出し、怒りを鎮めた。



(・・・時間だな)




                    ・・・つづく


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