中
ーー1日目 森
「ここ、何処だよ……。」
圭吾はひたすら歩いていた。
つい先程までは神社に居たと言うのにここは何処なのだろうか。不安が募る……と、思いきや
「やっぱりそうだよな、俺は夢を見てないよな。」
と、圭吾は頬をつねる。
「痛っ!……やっぱり夢じゃない。だったらこれは……
異世界だよな?」
その事実にたどり着いた瞬間
「来たーーーーーーー!!夢にまで見た異世界だ!!!ヒャッホーーイ、テンプレ来たーーーーーーー。」
と、叫び出す。
「やった!やった!やった!!これで人生やり直せる!」
と、興奮している。
「ふぅふぅふぅ。落ち着け俺、取り敢えず、町へ行こう!そしてギルドに登録しにいこう。……待てよ?もしかしてステータスオープン!」
……何も起きない。
「あれぇ?うーんそれじゃあ、出てこい!、あれ?……ひらけごま!これも違う。可視化!これでもない。……!ああ、多分ステータスはギルドカードとかに書いてあるんだな。なら見れないのは当然だ。」
と、納得する。
それから
「うーんこの森を今日中に出れるかな。……飲み水探すか。」
と、圭吾は歩き出す。
だが、圭吾は気付かない。茂みから何かが彼を見ていることを。
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あれから三十分。圭吾は
「ぜぇぜぇぜぇ、ケホッケホッ!……喉乾いた、足痛い。川は何処だよぉ!」
道に迷っていた。元々体力のない圭吾が舗装されてない森を長時間歩けるわけがないのだ。
「はぁ、チートとか貰って無いのかなぁ。……ちくしょう!」
と地団駄を踏んだ時だった。
軽く上に跳べたのだ。
「っ!?どういうことだ!?」
と、今度は全力でジャンプしてみる。すると
「おおーーーーー!!!」
目測で五メートル位跳べたのだ。
「よっしゃー行くぞ!」
と、圭吾は疲れも忘れ、跳びながら突き進んでいく。すると、直ぐに
「川だ!やっと見つけた!」
と、幸運にも川を見つけ、水をがぶ飲みする。
「ゴクッゴクップハァ!うめぇ!生き返る!」
と、一息つく。
そして、
「あー疲れた!!」
と、川原に大の字に寝そべってしまう。
その瞬間を逃がさないように、
一頭の狼が出てくる。
しかし圭吾は気付かない。
そのとき、狼は致命的なミスをした。
コロッ
「ッ!」
と、石を蹴飛ばしてしまったのだ。
「なんだ?……おいおい嘘だろ!?」
と、圭吾は一目散に逃げていく。
しかし、狼も追いかける。
森を全力疾走する一人と一匹。
「ハハッ!流石異世界!角のはえた狼とかファンタジーだぜ!」
と、圭吾は興奮している。
すると、目の前に大きな木があることに気付く。
「あぶねっ!」
と、圭吾は回避する。しかし
「キャウ!」
ボキッ
と、狼は木に正面衝突。そして角が折れ動かなくなる。
「あれ?……もしかして死んだ?ラッキー今日の夕飯ゲット!!」
と、狼に近づく。そして圭吾が狼に触れようとしたとき!
「うーんこれ食えるか?」
結局狼は死んでいた。
「取り敢えずもう日が暮れそうだ。洞窟とかさーがそ!」
と、狼を引きづりながら歩いていく。
また、二十分位歩くと運良く洞窟を見つける。
「良かった!洞窟あった。」
と、圭吾は安堵する。
すると、グキュルル!と、お腹がなる。
「腹減ったな。早くこいつ食いてえ。」
と、言い出す圭吾。ここで致命的なミスに気付く。
「そういえば、火をどうやって起こそう。」
そう。調理するには火が必要なのだ。
「!魔法があるじゃん。ファイア!」
……
「それじゃ、フレア!」
……
「それじゃ、フレイム!」
……
「くそっ!出ないのかよ!……あっ!そういえば!」
と、圭吾はポケットをまさぐる。すると。
「あった~ライター!」
と、文明の利器を取り出す。
「それじゃ薪集めよう!」
と、洞窟を飛び出す圭吾。
~数分後、何事もなく帰ってくる圭吾
「それじゃ薪に火をつけてってと。」
と、ライターの火を小枝にあてる圭吾。しかし
「あれ?なんでつかないんだろう。」
彼は気付かない。
「あっ!火種かっ!それじゃあこれだ。」
と、取り出したのは千円札である。
「よしっこれで……どうだ!……着いた!」
と、見事に成功した。
「そして、この枝を使って。……出来た!」
と、作ったのは狼を焼くためのものである。
「よしっ!早速焼くか!」
と、狼を丸ごと焼く圭吾。
勿論数分後には
「マッズ!食えたもんじゃないな!」
と、狼の肉を食っている圭吾の姿があった。
狼の肉が不味いのは当たり前である。
血抜きをしていない。味付けをしていない。
皮ごと焼くから中に火が通っていない。
と、いうように圭吾は、ただ生肉を食っていた。
「はぁ、もう寝るか。やることないし。
でも、異世界に来たんだしハーレムは作りたいよな。あと!国王にもなりたいし。ドラゴンとかいるのかな~。あとギルドでモテモテになりたい。あー楽しみだ。お休み、俺」
と、圭吾は寝始める。
彼にはこれから何が待ち受けているのだろうか