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「くそっ!ここは奥義出すべきだろ!この野郎!お前のせいで負けちまったじゃねぇか!」


今、パソコンに向かい悪態をついている彼の名前は、相澤 圭吾 二十歳、職業 自宅警備員。


ここで彼の人生をざっと説明しよう。


五歳、幼稚園で周囲から浮いた行動をとり、同級生からのイジメが始まる。


同じく五歳、弟が生まれる


十歳、イジメの主犯と喧嘩。しかし、先生の勘違いで自分が怒られ、人間不振に足を踏み入れる。


十一才、弟が私立の名門小学校に首席入学。周囲から弟と比べ始められる。


十二才、イジメから逃れるため私立の中学を受けるも落ち、結局、イジメの主犯と一緒の中学に進学。


同じく十二才、ゲームと出会う


十四才、遂にクラスの全員からイジメが始まる。


十五才、県外の寮付きの高校に進学。イジメから解放される。


同じく十五才、オタクということで女子から嫌われる。


十六才、いじめられていたため、コミュニケーション力が皆無なのが仇となり、折角できた友達が離れていく。


同じく十六才、イジメが始まる。


十七才、高校を自主退学、実家に戻る。


しかし、実家に居場所は無く、親から生活費を貰い、独り暮らし。ニートの始まり。


と、言った具合だ。


今では、毎日ゲーム三昧である。


ちなみに弟は、高校で初の一年生生徒会長をしている。


「ちっ!やめだやめだ。あー寝みぃ。今何時だ?」


と彼はケータイを取りだし時刻を確認する。


「あー……っ!?そういえば今日生活費が振り込まれる日だな。銀行に確認しに行くか~。」


と、彼は一ヶ月振りに外に出る。


「くそ暑いな。さっさと行こ。」


と、彼は歩き出す。


しかし、


「おー久し振りだな、相澤。」


「っ!?……」


「おいおい無視かよ。お前、マジで変わらないな。昔と同じでキモいまんまだ。」


彼に話し掛けてきたのは小学校と中学校の時のイジメの主犯である。


「なぁお前さぁ、今どうしてんの?何処の大学行ってるんだ?」


「………………」


しかし圭吾は答えられない。


「なんだよだんまりしてさぁー。……まさかだけどさお前ニートとか言わねぇよな!?」


「………………っ」


圭吾は否定できない。


「おいおいマジかよ、こりゃ傑作だな!ギャハハハハ!」


「…………」


圭吾は黙って行こうとする。


しかし。


「おい!ちょっと待てよ!なぁ相澤?お願いがあんだけど、今月金がピンチなんだよ。金貸してくんね?」


と、腕を掴まれる。


「……っ!…………っ!」


圭吾は振りほどこうとするが引きこもっている圭吾には振りほどくことなど出来なかった。


「おい!暴れんなよ、ほんの一万貸してくれればいいんだよ。さっさと出せよ。」


「……」


圭吾は諦め一万円札を出す。

それを引ったくり手を離す彼。


「じゃあな!また金貸してくれよ!ギャハハハハ」


と、彼は去っていった。


そして圭吾は銀行に向かって歩き出す。



時間は少し飛んで銀行に着いた圭吾。


ATMの方を見ると、少し並んでいるため、列の後ろに並ぶ。待っている間は暇なのでスマホを起動しゲームを始める。

すると、前が進んだ気配がしたので前に進もうとすると、


ドンッ!


と、誰かにぶつかる。そしてその直後


「割り込みしないで下さい!」


と、目の前にいるOLに叫ばれる。


圭吾は混乱し、しどろもどろになっている。


そして、周りから圭吾に向けられる侮蔑の目線。


「ご、ごめん、なさ、い。」


と、頭を下げる。


「ふん!」


と、彼女は前に並ぶ。


(ちくしょう!この性悪女め!)


と内心ではそう思っているが口には出さない。


周りからの侮蔑の目線を感じながらやっと自分の番が回ってくる。


ATMに通帳を通し、記帳する。しかし


(なんでだ!なんで振り込まれてない!日付を間違ったか?)


と、一旦ATMから離れ親に連絡する。


プルルルルガチャ


〈はい、相澤です。〉


「なぁ!今日振り込み日だよな!なんで振り込まれてない!母さん!」


〈……アンタかい。アンタを養う為の無駄金はないよ。そもそも、もうアンタはうちの子じゃない。それじゃ〉


「まて!待ってくれ……嘘だろ。」


それから生気が抜けたかの様に辺りをうろつき、気付けば、ある寂れた神社へとやって来ていた。


「ああ、これからどうすればいいんだ。」


これでは家賃も、ネットやスマホの代金も払えない。


「どうすればいいんだよ!」


「くそっ!こんな世界嫌いだ!」


「周りに同調し、俺を虐めるこの世界が嫌いだ!」


「人生をやり直したい。」


そのとき、強い風が吹く。思わず目を瞑る。


そして、目を開けると。


「何処だよここ……」


深い森になっていた。


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