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与える男  作者: geinguns
与える男
99/120

今日で閉園したテーマパークを後にする、与える男と梓。




ちらほらと空から雪が降ってくる。

駅へと続く道を歩く二人は降る雪に取り囲まれる。





「今年初めての雪ね、、、きれい」


梓は雪を見てつぶやく。

てのひらに雪を乗せる梓。白い雪が手のひらに乗ったとたん

色を失い溶けてなくなっていく雪。


「私ね、、、あの頃、あなたと出会った頃が、どうしても現実にあった事とは思えないの。

あまりにも楽しく、あまりにも幸せ。現実離れしてると思うくらい

あの頃は幸せだった。


私、あの頃は夢の中を生きていたんだと思う。」



与える男はにやりと笑って言う。


「ママ、、昔の思い出を美化して懐かしむのは年をとった証拠だよ。


でも確かにあの頃は何をしていても楽しかった。

今からすると、確かに夢の中を生きていたみたいだったな」



「もう、、2人っきりなのにママはやめてよ!

それに年取ったなんてよくも言ってくれたわね!」


怒って梓は与える男の頬をつねる。

冬の冷え切った肌をつねられるととても痛い。

与える男は悶絶する。


「いててて、、なんだよ!年食ったのはほんとじゃないか!

それにママはママなんだから別にいつ言っても、、、、」


文句を言い続ける与える男の口を梓は押える。



「もう、、やめて!それより手をつないで歩かない?

2人っきりだからいいでしょ?」


梓は与える男の手を取る。

久しぶりに外で手をつなぐ与える男は少し照れくさい。



無邪気な顔をして歩く梓。



その横顔を見ながら与える男は思う。



これからもずっと、一緒に歩いて行くんだろうな。

そして一緒に歩いて行く限り、梓にすべてを与える男でいよう。



雪景色の中二人の影が消えていく。




2人が去って、テーマパークは雪の降る中、誰もいなくなった。









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