閉園後
夕方、、
やっと彼らは地獄から解放された。
「俺絶対2キロは痩せたよ、、」
吉田君はいった。疲れている様子だった。
閉園した園内を歩いて更衣室に戻っていく。
先ほどの人ごみがうその様に園内は静まり返ってる。
「あのー与える男さんですか?」
声がした。
振り返ると
彼女が立っていた。
夕日をバックに案内所の制服を着て立つ彼女は
神秘的に見えた。
彼女はアルカイックスマイルを浮かべ口を開いた。
「閉園前、年配のご夫婦が見えられて
これを売店の与える男さんに渡して下さいって
言われましたので、、、、」
彼女から渡されたビニールぶくろには
大きいタオルが入っていた。
「ありがとう。これからも与える男でいて下さいって
おっしゃってました。
私もそう思います。
じゃあ、、」
彼は、
与える男でよかったと、彼女の帰っていく後姿を見ながら思った。
「やられた!こんなぼーっとしている奴に先を越されるとは!
、、でも今日はお前に一本取られたわ、、
おい!与える男!これから飯食いにいかへんか!おごるで!」
吉田君が悔しそうに叫んだ。
今にも地団駄を踏みそうだ。
「よっしゃ!いくか!今日は飯がうまいだろうなあ!」
彼は今日一番の、笑顔で言った。
二人を照らす夕陽はすべてをオレンジ色に染めていた。
第一話 完