宿命
「あのー吉田?」
「24日は駄目やで、、、、、」
一瞬で会話が終わってしまった。続く静寂、無言の2人。
まだ何も言ってないのに断られてしまった、、、
なにか、、何か糸口はないのか?
この状況を打開する、、、、
黙々と仕事をする吉田君。まるで与える男がそこにいないかのように
無視して仕事をしている。
「吉田、、、君?あのー相談があるんだけど、、、」
「だからあ!24日は無理!!だいたい、クリスマスの直前まで、うだうだ喧嘩してた
そっちが悪い!!梓にもそう言うとけや!」
そうだ、、、その通りだ、、
これほどまでに正論を言われると、何も反論できない。
しかし、、、吉田君たちは僕たちが喧嘩してた時、いろいろと心配してくれた、、、
もしかしたら、今度も、、、
「で、、でもさあ、、僕たち初めてのクリスマスなんだよなあ、、、
それが、バイトでつぶれちゃったら、また喧嘩するかも、、、」
「、、、喧嘩したらええやん、、そして別れてまえ!
あほカップルが何を言っても、俺たちは24日は休むでえ!!」
駄目だ、、どう考えても吉田君は24日は休みを譲る気はないらしい。
そうだよなあ、あっちにとっても初めてのクリスマスで盛り上がってるんだもんなあ、、
それにしても、、別れてまえってひどいよなあ、、
もう、、バイト辞めてしまおうか、、
いかんいかん!そんなことしたら店にすごい迷惑だ!
与える男としてはそれはできない、、、、
悩みまくっている与える男に吉田君がふと声をかける。
「おまえ、、そんなに24日は梓と過ごしたいんか?」
与える男、顔をあげて吉田君を見る。
吉田君を見る目が、なんだかうるうるしている。
「うん!すごしたい!
梓は、、僕の大事な人だから、、、
その人と、初めてのクリスマス、、、
僕のすべてを分かってくれてて、、、
僕の気持もわかってくれている、、
親父が死んだ時も、、
僕の情けない姿を見た時も、、
梓は見守っていてくれた、、
そんな僕にとってかけがえのない人に報いたいんだ!
イブの日、彼女が一緒に過ごしたいと言えば、それに全力で答えたいんだ、、
吉田君、、、譲ってくれるよね、、
心のやさしい吉田君なら、僕の気持ちを分かってくれるはずだ、、、」
その言葉を聞いた吉田君は目をうるうるさせて与える男を見る。
「与える男よ!!」
「吉田君!!」
「だめ」
その場に倒れこむ与える男、、
「よ、、吉田君、、僕がこれほどまでにいってもわかってくれないのか、、、、
よしだあ、、、おまえの血は何色だあ!!!!」
それを聞いた吉田君、、右腕をぶんぶん振りまわす
「やっぱり、、俺とおまえは戦う宿命にあったようやなあ、、、
ええやろう、、、おまえ、、おれと勝負しろ!!
もし万が一お前が勝ったら、24日は譲ってやろう、、」
「よし!やろう!!でも何で勝負するの?」
「明日までに決めとくわ!言っとくがなあ!俺は大阪の拳王と呼ばれた男やぞ、、
何をやっても、おまえごときには負ける気がせぬわ!!はははは」
高笑いをする吉田君。
その横で静かに闘志を燃やす与える男。
「梓、、、勝つよ、、、必ず勝つ!!!!」
木綿豆腐って冷ややっこで食べませんよね?