本当の僕
最近、何もする気がなくなっている。
朝も、起きれない。
昼前にのそのそと起きだし
パチンコ屋に直行する。
ぼんやりとした頭で
ぼんやりと弾かれる玉を見つめている。
なにもかも、めんどくさい。
もしやりたいことがあっても
動くと傷つくだけかなと思う。
ただ、ゆっくりと毎日を過ごしたい
刺激は要らない、、
今日もパチンコ屋に、入り浸る与える男。
ぼんやり打っていると後ろから声がする。
「パチンコって楽しい?」
梓だ。
「ああ、、、楽しいよ、、、」
梓の方を振り向きもせず
答える与える男。
「ちょっと休憩して外に出ない?
話があるの、、」
「いいよ、、僕も、、話があるんだ、、、、」
とぎれとぎれに答える与える男。
相変わらずパチンコの画面を凝視したままだ。
パチンコ屋を出て2人は
近くの喫茶店に入る。
梓は席に着くなり口を開く。
「バイトに長いこと来てないね?
学校も行ってないってお母さんから聞いたわよ
いったいどうしたの?」
「また説教かい?」
窓の外を見ながら冷めた口調で与える男は言う。
「お父さんが死んでから1か月、、
辛いのはわかるけど
元気を取り戻してよ!!
いつものあなたに戻って!!」
梓は与える男にすがるように言う。
手がかすかに震えている。
与える男は虚空を見つめる。
梓とは目も合わせようとしない。
「親父が死んだのはとうに
受け入れたよ、、
もう会えないのは悲しいけど仕方がない。
けど何か勘違いしているみたいだな、、君は、、
この姿、、
だらしなく
気弱で
無気力なこの姿が実は本当の僕なんだよ。
やけっぱちでこんなことしているわけじゃない、、
今までは親父の要求に必死に答えようとしていただけ、、
無理してたんだよ。
品行方正、人にやさしく
しかも真面目なんて、、、、、僕には無理なんだよ、、
与える男なんて皆が求める理想の姿、、、
弱い僕には重すぎる名前だ。」
梓はじっと与える男を見る。
「確かに、、、みんながあなたに
無理をさせてたのかもしれないわね、、
でも、、
わがままかもしれないけど、、
戻ってきて、、そしてまた
もとのように楽しく過ごしたいの、、、
あなたは、、
あなたが思っている以上に皆が必要と
しているのよ
もちろん私も、、、
お願い、、、」
「梓は、、
パチンコ屋で梓を見て
僕は何を考えたかわかるか?
梓を見て僕はこう思ったんだ、、
そろそろバイト代も底をついた、、
梓に金を借りれないだろうかってね、、
僕はそういうやつなんだ、、、
決して、弱いものを
進んで守る
いまどき感心な好青年じゃないんだよ
もう疲れたんだよ」
梓はその言葉を聞くと
何も言わず席を立って出て行ってしまった。
「おい、、ここのコーヒー代、おいてけよ、」
与える男、、静かにつぶやく。
初冬の風が吹きすさぶ中を
走り去っていく梓を
与える男はうつろな目でずっと見ていた。
いい本あったら教えてください!!
最近これってのがなくて、、、
困ってるんです