なんでまた、、、
携帯に出る与える男。
母親からだ。
「あ、お父さんがねちょっと事故にあったらしいの
どこも怪我はないって、お父さん言ってたけど
頭打ったんで、病院いくらしいのよ、、
心配だから私も病院行ってくるから
帰ったら一人で留守番しててね」
わかったといい電話を切る与える男。
「親父がね、事故にあったらしいんだ
本人はぴんぴんしてるらしいけど」
「え、、、大丈夫なの?」
梓顔を曇らせ心配顔。
「大丈夫だよ。
本人がそういってるんだから
病院にも行くらしいし」
「何もなければいいけど、、、、」
心配顔の梓に対して
与える男はあまり気にしていない様子。
すると、梓の携帯も鳴り出した。
薫からだ。
全く、いいムードの時に限って
携帯ってなるよな、、
と思う与える男。
「もしもし梓?
今どこにいるの?
驚かないでね、、
今3人でご飯食べてるんだけど、、、」
「え?3人ってもしかして、、あの、、」
「そうなの、、松岡さんと、、吉田と、、私、、」
「えーなんでそんな無謀なことを、、、、」
「教習所の帰りに、ご飯でも食べに行こうって松岡さんが誘ってきたんだけど、、
松岡さんが、、吉田も誘えって、、何でかわからないけど、、
今ものすごーーーーく気まずい雰囲気、、、
今からこっちにこれない?
助けてよー」
珍しい薫の気弱な声。
「わかった!行くよ!!
待っててね!」
携帯を切ると梓は言った。
「今から薫ちゃんを救助に行くわよ!
困っている薫ちゃんを見捨てられない!」
走り出す梓。
与える男は梓を追っかけながら考える。
なんでまた3人で食事なんか行くんだろう、、
気まずいのはあたりまえじゃないか、、、
いったいあの3人は何を考えているのか、、、
親父も気になるが
あの3人はもっと気になる、、、
静寂な凪のような日々が
この電話を境に少しずつ動き出している。
与える男はそんな気がしていた。