赤銅色の海
海風は指すように冷たい。
夕日に照らされて赤銅色の海。
眼前に横たわる大きな吊り橋。
ロープ一本に支えられたこのゴジラよりも
大きい物体。
存在自体が奇跡に近い。
こんなもの神以外には
人間にしか作れない。
そんな吊り橋の前にいるちっぽけな
人間が2人。
「ざ、、ざむい、、ぐるんじゃながっだー」
海が見たいという梓の思いつきにより
ここに来た二人。
海をなめた軽装できた与える男。
対して梓は白のコートにマフラーでばっちり
防寒対策をしている。
「ぼぼうがえろう、、、、」
「え?何言ってるかさっぱり分かんないわよ
それにしても素敵ねえここ
夜になったらこの橋ライトアップするらしいわよ!
見たいから夜までここにいるわよ!」
「じょじょるばでいだら、、じぬ、、ぜっだいじぬ」
少しずつ、少しずつでいいから周りの人に
気つかい、優しさを与えるんだ。
なにも大したことをやる必要もない
電車で席を譲るとか
荷物を持ってあげるとか
その程度でいいんだ。
世の中の人皆が
それを心掛ければ
世の中皆与える人になれば
世の中の問題の9割は
解決するんじゃないかな
この前家に遊びに行った時
元祖与える男のお父さんが
ビール片手に力説してたっけ、、
梓は思う。
そのちょっとした優しさを
実行するのって少し勇気いるんだけどなあ
この吊り橋みたいに
ひとは支えあって生きている。
金八先生もいっていた!
知らない人に優しさを与えるのは
難しいけど
支えあっている人
大切な人には
出来る限りの優しさを与えたい。
与えられる人になりたい。
薄着で秋の海に来る
この目の前の馬鹿な人に、、、、、
梓は震える与える男の背中から
手をまわし抱きつく。
「こうすれば、あったかい?」
「ぶ、、ぶん、、ずごじまし、、、」
2人はパズルのピースのように
がっちりと離れない。
「お父さんにプレゼント渡すの
楽しみだあ、、、どんな顔するかな」
「親父に、、?
梓がプレゼントくれるって言ったら
錯乱してるのかと思うほど
喜んでたぞ、、」
「ほんと?」
黄昏時
吊り橋にライトが灯り
暗い海を照らす。
「きれいークリスマスツリーみたい、、」
見とれる梓。
その梓の横顔に見とれる与える男。
突然与える男の携帯が鳴る。
「あ、、家からだ、、なんだろう」
携帯を見つめる与える男。
梓は相変わらず吊り橋に
うっとりと見とれていた。
藤川2億8000万?
安いんじゃない?
10億ぐらいが妥当だと思うけど