第八話 梓と父さん
電車の車窓から見える風景が
だんだんと緑になっていく。
山が大きくなってくる。
目の前には広葉樹林主体の山々が広がる。
秋本番になると
この山々も様々な赤に染まるだろう。
与える男は電車に乗りながら考える。
紅葉の中を梓と一緒に歩きたい。
落ち葉を敷き詰めた道。
道の両側には紅葉に染まった木々
その中を歩く彼女は
一段と美しく見えるだろう。
「ねえ、、私どう見える?おかしくない?
持ってる服で、一番真面目そうなの選んできたんだけど」
隣にいる梓が言う。
表情が硬い
少し緊張しているようだ。
「大丈夫だよ。大丈夫」
与える男、優しい笑顔で言う。
「あと、、変なことさえいわなければ
父さんも母さんも梓のこと気にいると思うよ。
金八先生のセリフは禁止ね!わかった?」
「うん、わかった、、」
与える男の家に行く途中の電車の中。
梓は思う。
お父さんってどんな人だろう
優しそうかな、、この人のお父さんだから
きっととっても優しいだろうなあ。
楽しみだなあ
私、、気に入ってもらえるかなあ
気に入ってもらって
息子の嫁に欲しい!って言われたらどうしよう!
、、、そうなってほしいなあ、、
そして
あったら、まずこう言いたい、、
私が好きな人を
生んで
育ててくれて本当にありがとう!!
変に思われちゃうかなあ、、、
でも素直な気持ちだから
本当にありがとう、、、、、、、
電車の中
横には与える男。
車窓からは美しい緑の風景。
梓は本当に幸せだった。
俺は俺の書きたいように書く!!