再び門の前で
その赤茶けた門は
相変わらず、無愛想にテーマパークの
裏にひっそりと建っていた。
裏門に一人立つ吉田君。
少し緊張した面持ちで
片手には缶コーヒー。
人待ちをしているようだ。
駅の方から歩いてくる人影。
すらりとした体躯にセミロングの髪。
真っ白な肌。
吸い込まれそうな瞳。
それでいて驕り高ぶらず
人に優しさを与える女。
「そんな女を好きにならん奴はおらん、、、
案の定俺も、与える男もメロメロや、、
2人が戦うのは必然や、、、、
勝ち目のない戦いでも
してみる価値はある。」
吉田君は思う
これは必然なんやと、、、、
「吉田まったあ?なあに話って?
深刻な顔してるねえ、、、」
吉田君は深呼吸をひとつ
すーはー
落ち着いた声で話しだす。
「ちょっとな、、、お前に言いたいことが
あるんや、、
実はな、、、、
まああとで話ししよか、、
あいつ、、、与える男が来てからな」
しばらくすると
駅から与える男が歩いてきた。
さえない男、与える男。
ひょこひょこ歩くその姿は
お世辞にも、いい男とは言えない。
、、、でもあいつには一本芯が通ってる
ええライバルを持ったもんや、俺も、、、
「こんにちわー吉田君はなしって何?」
相変わらず間の抜けた話し方だ、、
こちらの気合いが萎えてしまう。
「まあ、2人に聞いてもらいたい話があるんや
梓だけでも良かったんやが
お前も一緒に聞いてもらおうと思って。
梓だけに話すのはフェアじゃないって思ったからや。」
「なによお話って?
早く言ってよー!」
梓は焦れている。
「おお、そんじゃ単刀直入に言うわ。
おい、与える男!
梓を俺に譲らんか?」
一瞬時間が止まったかのような
静けさが3人の間に流れる。
吉田君は持っていた缶コーヒーを
飲み干すと、もう一度その言葉を繰り返した。
「梓を俺に譲らんか?」
ウメってすごいよね、、、