第六話 梓の二面性
9月。
中途半端な季節。
夏模様の中に、秋を感じる一幕もある。
簡単に言うと季節の変わり目。
学校が始まる月でもある。
アメリカでは新学期だ。
何かが動き始める、
それが積みあがるのか
それとも崩れ落ちるのか、、、、、
9月は動の月だ。
2人がいる暑い厨房も
9月になり、少しだけ過ごしやすくなってきた。
「9月から、学校始まるから
このバイトも週一ぐらいしか入れんなあ、、、
収入が減ってまうやん、、、
どうしよう、、
夜のバイトでも探そうかなあ、、」
吉田君が洗いものをしながらつぶやく
「あ!僕いいバイト知ってるよ、、
今度一緒に行かない?」
「ええわ、、、例の地獄バイトやろ、、
俺まだ死にたくないし、、、」
と、吉田君が嫌な顔をしながら言った。
確かに、テーマパークは昼しかやってないので
学校がある二人には土日しか入れる日はなかった。
貯金しなきゃいけないし、、、
僕もまたバイト探さなきゃ、、、
与える男は思った。
誰かのために働く喜びを知った。
稼いだお金を好きな人のために使う
こんなに素敵なことはない。
与える男は稼ぎたくてしょうがなかった。
「それに、教習所にも早く行きたいしなあ、、
バイク買う金も貯めなあかん、、、
がんばらなあかんなあ」
教習所?
そういえば、、、、
このバイトを始めた当初の目的って
教習所に行くお金を稼ぐためだったっけ、、、
「ねえねえ、ちょっと聞いてよお!!」
梓が仕事場を抜け出して彼らの店にやってきた
手には何やらパンフレットのようなものを持っている。
「こんどねえ、薫ちゃんと自動車の教習所に通うことにしたの!!
自動車よ!ねえいいでしょ?いっても?」
「え?ああいいよ。でも突然だなあ
なんでいきなり行くことにしたの?」
梓はにこっとしてマンガ本を取り出した。
「これ読んで、自動車かっこいいなあって思って」
タイトルを見ると 頭文字D の文字。
兄貴から借りたのだろうか?
「自動車がブーンって走るのかっこいいじゃない
それで私も乗ってみようかなって、、、
でもひとつ困ったことがあるの、、、」
梓が困ったことがあるといった時は、本当に困ることを言う。
「私、、実は、、、自転車乗れないのよねえ、、、
大丈夫かなあ、、、大丈夫だよね?車はよっつタイヤついてるし、、、、」
、、、、、、、、
自転車も乗れないやつが、、、、
峠の走り屋になろうとしてるのか?
あいかわらず、突っ込みどころ満載の梓は
無邪気にはしゃいでいる。
「おー!免許取ったらみんなでドライブいこか!
楽しそうやなあ!」
吉田君もはしゃいで言う。
「そうだね!運転はもちろん私!!
飛ばすわよ!ぶーん!!」
与える男は
梓は不思議な人だなと思った。
子供じみたことを言ったと思ったら
突然大人になったりする。
いったいどちらが本当の梓なんだろう、、、
元気一杯の梓を見ながら、与える男は
一人思いにふけっていた。
まだまだかきますよー
感想もよかったら、くださいね!!