働く男
住宅街にある何の変哲もないマンション。
「本当にここなのか?
住所によるとここなんだが、、、」
昼下がり、与える男は
マンションの前に立つ。
中に入り郵便受けを調べて見る。
マンションの1階にずらっと並ぶ
入居者の郵便受け。
「ええと、、、あ、、あった
やっぱりここだ、、、」
郵便受けにはマジックで小さく書かれた
〜調査事務所の文字。
その殴り書きのような文字を確認して
与える男はエレベータに乗る。
古びたエレベーター
モーターの音が聞こえ
細かく振動しながら登っていくエレベーター。
ある一室のドアの前に立つ。
表札には小さく「〜調査事務所」の文字。
インターフォンを押す。
「あの〜バイト募集の広告を見てきたものですけど」
与える男はアルバイト雑誌のとにかく稼げるバイト特集
を見て、ここを訪ねてきた。
中から出てきた男
髪を短く刈りあげ、がっちりとした体。
年は30半ばというところだろうか。
「おーよく来たなあ、
うちはとにかく力仕事だからなあ!
背は高いけど、細いなあ、、大丈夫?」
「大丈夫です!!とにかく金が欲しいんです!
お願いします!!」
仕事内容を聞いてみると
山奥で地質調査をする。
その機材の搬入の手伝い
調査のアシスタント
ということだ。
「山の上に機材をあげるんだけど
当然道なんかない。
それに、調査の機材は50キロはある。
君は登山の経験ある?」
「ないです、、でも僕どうしても
お金が欲しいんです!!」
「、、、やる気だけはありそうだな
よし、採用してみるか、、
途中で音を上げるんじゃないぞ」
「はい!!がんばります!」
「2週間の泊りになるけど
いいね!
来週頭から出発するから用意しといて。」
与える男は来週から
2週間の泊まりで
山奥の現場で働くことになった。
すべては金を取り戻すため
信用を取り戻すため。
もう馬鹿な金の使い方はしない
失った分はまた働いて取り戻す。
そう思う与える男。
梓としばらくお別れだが
また会うときは
給料をすべて差し出すつもりでいた。
今のところは、、、、、、
また読んでくださいね!
まめに更新しますので!!