第五話 転がる石のように
この夏出した汗 100りッター
有難うございましたといった回数 1万回
掻いた恥 数え切れず
この身を削ってきた対価として
支払われる給料日を今日迎えた。
可能な限りシフトに入って
たくさん働いてきた与える男にとって
今日はこの夏一番の思い出になるだろう。
と最初は思っていたが
今は違う。
当初は純粋に、金を稼ぎに来たのだが
今は、人との出会い
梓や 吉田君 薫と出会ったのが
一番の思い出となっていた。
「〜君!はい御苦労さま」
与える男に、重たい給料袋が手渡される。
ここは振り込みではなく現金で、給料を渡してくれる。
「えーなんやねん所得税って!!
所得って言うほどの給料ちゃうのに!
1万もひかれとる!!!」
税金をひかれた給料を手渡された
吉田君が怒っている。
「税金を払うのは国民の義務よ!
でも私たちは手続きしたら、返してもらえる見たいよ」
薫が吉田君をなだめている。
与える男はそーっと袋の中身を見る。
たくさんの1万円札が見える。
与える男は、顔がニンマリしていくのが
自分でもわかった。
「よっしゃ、この金でぱーっと4人で遊びにいかへん?」
「あ、、、ごめん、今日用事あるんだ、、
また今度ね、、、」
梓は申し訳なさそうに断ってきた。
「なんや、、ノリ悪いなあ、、
しゃあない!与える男!俺に付き合え!!」
与える男は、吉田君に強引に誘われ
2人で夜の街へと繰り出した。
分厚い給料袋を持って、、、、
夜の街は刺激的だ。
あの手この手を使って
たくさんの店が、
客に金を使わそうとしている
大きな看板
きらびやかな照明
心地よい音楽
そんな街の中で
一際目立つ建物の前で吉田君は止まった。
その建物はまるでその街の王様のように
彼らの前にそびえたっていた。
「おまえ、、これやったことあるか?」
吉田君が手をくいっと横に回す。
「え?なにそれ」
「わからんか?パチンコやパチンコ
俺も最近やり始めたんやけどおもろうてなあ」
「僕全然やったことも見たこともないや
そう、、おもしろいんだ、、」
「ちょっとやってこか?」
「うんいいよ。金も今持ってるし」
そういって彼らは
この街一番の
いや日本で一番の
集金マシーンがある
その建物の中に消えていった。
パチンコ好きの人
感想待ってます!!