改札口で
「今日は、、、私のわがままに付き合ってくれて
ありがとう、、」
梓、消え入りそうな声。
「いや、僕の方こそありがとう
楽しかったよ」
「そう、よかった、、
それで、、さっき聞かれたことの答えなんだけど、、、
本当に、本当に結婚するのか?
と言われたら、答えは正直、、わからない
きっと
時間が経てば
その答えが出てるかもしれない
答えはそれまで待ってくれる?」
「うん、、、」
うなずく与える男。
与える男は考える。
まだ始まったばかり
まだ出会ったばかり
すべてはこれから
未来はわからない
結婚しているかもしれない
別れているかもしれない
そう、すべてはこれからなんだ。
駅の改札口は相変わらず騒々しい。
人々の話す声
タクシーのクラクション
駅のアナウンス
それぞれが合わさって
不快な不協和音を響かせている。
しかし
その騒音の中で立つ二人の耳には
お互いの声しか聞こえていなかった。
また無言で見つめあう二人。
与える男は自分の顔が
熱くなっていくのを感じていた。
「ひとつ言っていいかな?」
梓が真剣な顔で言う。
「今日最後のわがまま聞いてくれる?」
「この与える男に出来ることなら
何でもするよ、、、」
「よかった、、じゃあ
今、私を抱きしめてくれる?」
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