尋ねてみる
「それにしても、、、
それにしてもあなた、イケてないわね!ふふん
髪の毛切ったら?少しはカッコ良くなるかもよ」
銀行を出た後、街を歩く二人。
はた目から見ると、仲の良いカップルに見える。
「え?髪の毛?、、、これこういう髪型なんですけど、、」
「あなたには似合わない!!
そうだ!!今から髪切りにいこ!
少しはましになるかもね、、、、、」
「ご、強引だなあ、、まあでも確かに伸びてるし、、
よっしゃ!行こうか。」
美容室に入る二人。
「どう致しましょうか、、、」
「あ、、えーと、、」
梓がすかさず言う。
「あ!サイドはジョリジョリ言うくらいに短く切って!
上は立たせてね!ジョリジョリよ!ジョリジョリがポイントよ!!」
「えー、僕そんなに短く切ったことないよ!」
「うるさーい!だまっていうこと聞きなさーい!
私はジョリジョリが好きなの!!!」
与える男の後ろで、ジョリジョリを連発しながら
美容師に指示を与える梓。
「もしかして、ジョリジョリフェチ?」
「私にフェチなんていう言葉使ったら
殺すよ、うふっ」
カットが終わり、美容室を出る二人。
髪の毛が短くなった、与える男は
確かに、少し精悍になったように見える。
「ジョリジョリー触りごこちサイコー」
さっきから梓は、与える男のジョリジョリした
頭を触りっぱなしだ。
「、、、、やっぱジョリジョリフェチじゃん、、、」
夕方、駅の改札口で
家路に就く梓を見送る与える男。
しかし
与える男は心の中の、もやもやを抱えたまま
このまま帰る気分になれなかった。
意を決して梓に尋ねる与える男。
手には少し汗。
「あ、梓!ひとつ聞いてもいい?」
「なあに?」
「本気なの?本当に本気なの?俺との事、、、」
その言葉を聞いた梓は
少しうつむいてしばらく何も言わなかった。
ざわめく駅の改札口で
二人はしばらく黙って立ち続けたままだった。
ねむたいな