足りないもの
バイト帰り、、
帰り道を歩く二人連れ。
「それでさあ、私たち結婚を目標にしたじゃない?」
生き生きした顔で言う梓。
「え?ああ、、、はい、、」
うつむき加減で言う与える男
なんか煮え切らない顔。
「え?何その態度?
もしかして昨日の言葉はウソなの?
もしウソなら
ドタマかち割っちゃうよっ、うふっ」
「ドタマって言葉を、
そんなに可愛く言わなくても、、、、
嘘じゃないよ!ほんとだよ!
本気で昨日はそう思ったんだ」
「そうよね、昨日の言葉をうそでしたー
なんてもし言ったら殺されても
文句言えないよね」
にやりと笑う梓。
与える男にはその顔が
どうやって殺そうか考えている
様に見えて仕方がなかった。
「それでさあ、結婚という目標
を達成するためには
私たち何が足りないんだろう。
それを考えないと
私たちゴールにはたどり着けないんじゃないかなあ」
足りないものだらけだ。
親の承諾
住む所
一定の収入、それと貯金
それともうひとつ一番大事なものが足りない、、
と与える男は思った。
「お互いの愛情がまだ足りないんじゃないでしょうか、、」
「ははは!それもあるね!
ぶっちゃけあんたのこと
そんなに好きじゃないし、、」
「えー!!好きじゃないの、、」
涙目になる与える男。
「あー大丈夫よ、泣かないで
ネズミさんと一緒くらいは
好きだから!!」
あの変なぬいぐるみと俺は
同じくらいなのか、、、、
少し、いやかなり複雑な気分。
「それでね、考えたんだけど
私、少しずつ貯金しようかなって思ったの。
ホントにいっぱいためれば
みんなも結婚本気にしてくれるんじゃないかな
と思って、、
何が一番足りないかって
みんな本気にしてくれていない
ってとこなんじゃないかって
私思ったの
明日通帳作りに行くから
ちょっと付き合ってくれる?」
「いいけど、、、俺も貯めるの?」
ボコッ!
与える男は腹に一発食らった。
「当たり前でしょ!!!
あんたが貯めないでどうすんの!!
あんたは私の倍!!倍貯めるのよ!!
わかった??」
「ひー、、す、すいません!!
わかりました!!」
「それとお!ひとつ気になってたんだけど
敬語やめてよね!
なんか他人みたいじゃない!
それと名前も 梓 って
呼び捨てにして!!」
「わかりました、、いや、、
わかったよ、、あ、梓」
結婚する前から、こんなに
尻に敷かれまくってたら
結婚したら、奴隷になるぞ!
与える男!
寒くなりましたねえ