50℃の厨房
面接を無事終えた彼が配属されたのは
ハンバーガーなどのスナック類を売る売店と
キャラクターグッズのショップが併設された施設だった。
彼が働くのは、スナックを売る店の方で
簡単な食べ物を作るこじんまりとした厨房の中だった。
これから働く店の下見に連れてこられた彼は
厨房の中に入って見て思わず
「暑いー」
と言葉を漏らした。
「ははは、、ここには鉄板とオーブンがあるからね
今は夕方だからまだましだけど
昼間は温度計が50度をさす時もあるよ。
体力勝負になるけど頑張ってね!」
とその店の店長は過酷な労働条件を
さらりといった。
たしかに厨房に入って正面には銀色の大きい鉄板があり
その右隣りには巨大なオーブンがあった。
鉄板の下にはバーナーが轟々と燃えている。
その巨大な熱量を発するものが
3畳ほどのスペースに押し込められているのだから
暑いのは当たり前だ。
「大丈夫かな、、、俺、、
しかもこんなとこに押し込められたら
女子との触れ合いも出来んじゃないかあ、、」
さっき面接会場で知り合い
同じ部署に配属された吉田君(さっき自己紹介した)
は、はやくも弱音を漏らした。
先ほど、面接会場で見せたやる気と
自信は見事にどこか消えうせていた。
「でもな、この場所。
ひとつだけいいとこみつけたわ、、、
みてみ、向かいにインフォメーションがあるやろ?
そこでな
さっきのナンバーワン二人組が働くらしいで!!
一日中彼女たちの働く姿を見られるなあ!
休憩のときとか、ちょこっと挨拶に行こうかなあ
楽しみやなあ」
「ああ休憩所は売店の裏にあるし
仕事中はここから抜け出すの禁止ね!
よくインフォメーションの子にちょっかい出して
仕事にならない子多いからねえ」
と店長がまたまた
夢をつぶす言葉を
さらりと言ってきた。
「、、、、くそ、俺をなめんなよ
必ず抜け出してやる!」
吉田君は小さい声でいった。
店長に聞こえないように、、、