梓に薬
与える男のいない、テーマパークの朝。
彼がいてもいなくても、テーマパークは景気よく開園する。
梓は今日も案内所に立つ。
売店に目を向ける梓
しかしそこには、与える男の姿はない。
ため息をひとつ。
空は昨日と打って変って快晴だ。
「梓、、なんか浮かない顔してるね、、、
彼、今日風邪ひいて休みだって、、、
昨日あんなに雨に濡れてたから風邪もひくわよね」
「私のせいかなあ、、、私嫌われただろうなあ、、、」
梓は、またため息をつく。
「っていうか、梓は被害者じゃない!
嫌われたかどうか、気にするのは向こうの方じゃないの?」
「彼、、このまま辞めちゃったらどうしよう。
辞めちゃったらもう会えないよね、、、
薫ちゃん、、、、、どうしよう、、」
薫は思った。
なぜこんな、美人で、頭もよく、心のきれいな
梓が、何の変哲もない、取り柄もまったくなさそうな
与える男のことでこんなに悩まなくてはならないのだろうか、、、、、、
「ちわーっす!!」
突然、ドアを乱暴に開けて、吉田君が案内所に入ってきた。
彼はニタニタしながら、梓に話しかけた。
「昨日はホントに悪かったなあ!
俺にも責任はあると思って
今日はお詫びの品をもってきたんやけど、、、
そこの姉さんの浮かない顔が一気に治る
薬を持って来たったで!!」
「薬?何を持ってきたの?
でも、、、
今は何をもらってもうれしくない気分なの、、、、」
梓はまた物憂げな表情。
「ところがなあ。俺、あんたの考えてることは
手に取るようにわかるんよ!!
理由は言えんけどな、、、
とにかくこの薬さえ飲めば
気分爽快!楽になるでえ!」
と言って彼は
三角に折った紙切れを
梓に強引に押し付けた。
「捨てたりしたらあかんよ!!
じゃあな!」
吉田君は入ってきた時と同じように
乱暴にドアを開け、帰って行った。
梓の手の中に残された紙切れが一枚。
「いったい何が書いてあるの?」
薫が聞く。
恐る恐る紙を開く梓。
その紙には、、、、
与える男
×××ー××××ー××××
電話して!!あいつも喜ぶから 吉田
、、、、、
「ちょっと私用事思い出しちゃった!!
薫ちゃん後はよろしく!!」
「電話するんでしょ。」
薫はにやりと笑って言った。
「ちょ、、、ちょっと用事だよお、、!!!
じゃあね!!」
風のように走り出す梓。
「あーあほんとによく効く薬だわ。」
笑って言う薫。
一方
店に戻りながら吉田君は、、
「俺っていつからこんなお人好しになったんだろう、、」
と
不思議な気持ちになりながら歩いていた。
医龍おもしろいよねえ
あんな話かきたいわあ