悩む男
彷徨い続ける、与える男。
汚い制服を着て、全身ずぶぬれの
与える男。
その姿は、華やいだテーマパークとは
対照的な姿だった。
歩き続けて、少し冷静さを取り戻した彼は
やらなければいけないことが一つあることに気がついた。
「まだ謝ってない、、、彼女は顔も見たくないだろうけど
とにかくもどって謝らなければいけない、、、、」
犬のように、頭を振って水を飛ばし
回れ右をして彼は案内所の方に歩き始めた。
足取りは先ほどとは違いしっかりしている。
すこし、バツが悪かったが
案内所のドアをあけ、元気にあいさつする与える男。
「こんにちわ!!
えー、、さっきはごめんなさい!ホントごめん!!」
潔く謝る彼だったが、案内所の中に梓の姿はなかった。
「梓なら早退したわよ、、、与える男さん」
薫が静かに言った。
「今度会ったら、ちゃんと謝るのよ!誠意をこめてね、、
わかった?」
「ハイ!わかりました、、、すいません」
「それから、あなたは梓に借りができたよねえ、、
それは、どうやって返すつもり?
仮にもあなたは与える男なんでしょ?
与える男が、梓から優しさをもらってどうすんの?
梓は、泣いたりしてごめんなさいって言ってたわよ、、、
与える男さん、あなたの名前にかけて
梓に報いるべきよ!!」
「わかりました、、がんばります!!
、、失礼します!!」
迫力のある薫に、ついつい敬語になる彼ではあったが
「でも、、、どうやって借りを返したらいいんだろう、、」
と悩みまくっていた。
いつの間にか、雨がやんで少し日が差してきた。
次の日の朝、、、
彼は、体がだるく熱があることに気がついた。
体温を測ると、、、、39度!!
「風邪ひいたみたい、、、雨にぬれすぎたか、、、」
この状態では、今日バイトには行けそうもない。
彼は、今日休む旨を店長に連絡し
体力回復のため、ひたすら眠った。
昼過ぎ、枕元にある彼の携帯が鳴った。
起き出し携帯を見る与える男。
ディスプレイを見ると見知らぬ番号が表示されている。
恐る恐る電話を取って見ると、
携帯から聞こえてくる声、、、、、
「大丈夫?風邪なんだって?」
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