夏、終了
顔面いっぱいに、ソフトクリームをつけた女の子。
梓は、顔や、髪の毛や、制服についたソフトクリームを
少しなめると
「おいしい!ありがとう、、、、与える男さん」
といった。
与える男は一言で言うと
「哀れ」な状態だった。
何をしていいか分からず
膝を、ガクガクさせながら突っ立っているだけだ。
顔面はひきつって、目は白目をむきかけている。
いわゆるイッちゃう寸前。
「あはは、、ソフトこけちゃったね、、
あーあ、薫ちゃんにも食べてもらいたかったなあ、、、、」
気丈に笑う彼女。
与える男への気遣いだろうか。
しかし、、
しかし、梓の眼から
涙が一粒、、また一粒こぼれ出したとき
与える男の自我は、完全に崩壊した。
「ああ、あいつがもっていけって、、、」
彼は、売店を指さしたがそこに吉田君はいなかった。
危険を察知して雲隠れしたようだ。
梓の顔や制服そして溢れ出す涙を、薫は拭いてあげながら
薫は、与える男に諭すように静かに言った。
「、、、、梓はあなたにプレゼントのお礼を言ったわよね。
たとえ、顔にソフトクリームをかけられてもね、、、、
なのに、あなたは梓に一言のお詫びも言えないの?
それどころか、あなたは人のせいにしようとした、、、」
与える男は、薫の冷静な一言でさらに、ショックを受けた。
そして薫はとどめのひとことを放った。
「最低」
男が女の子に言われたくない言葉ナンバーワンを
言われてしまった彼は
肩を落とし、一礼をしてから
案内所を出て行った。
朝から降り続く雨は一向にやむ気配もなく
雨は、与える男の体を打ち続けている。
「終わった、、、、、、、」
そう思いながら、彼は
売店に戻ることもなく、園内を歩き続けた。
感想ほしいな