彼はストーカー?
面接が終わり、帰りの電車に乗る二人。
電車の窓から
家やビルの明かりが見える。
車内は静かで、咳払いしただけでも
車内に響きそうだ。
二人は小声で話す。
「薫ちゃん、楽しみだなあバイト
毎日くまさんと写真とってもらおーっと」
「梓、一応仕事だからね、、毎日はちょっと、、、
でも一回ぐらいとってもらおうか」
「でもあの、悪者二人組に邪魔されないようにしないと
くまさんにやっつけてもらおうか!!」
「悪者って、、決めつけなくても
実はいい人かもよ?」
「えー薫ちゃんあいつらの味方なの!!
わるだくみしてるんだよ!
あの顔は絶対わるだくみしてるよ!!」
「静かにしなさい!
電車の中で騒いじゃダメだよ」
「はーい」
梓が口を押さえて反省していると
正面の席に座っているうつむいていた男が
顔をあげ窓の外を見た。
「、、、、!!ちょっと薫ちゃん前の男!
さっきの悪者じゃない!
きっとつけてきたんだよ!
ストーカーだ!
こわいよー」
「たぶん偶然だと思うけど、、、
何かの縁だし挨拶する?」
「だめ!無視よ!無視!
さっきの約束忘れたの?」
男はまたうつむいて
カバンからイヤホンを出し音楽を聴き始めた。
こちらには全く気がついてないようだ。
そしてその男は何事かを呟いて
うすら笑いを浮かべた、、、、、
「ひー!こ、怖いー
なんか独り言言ってニヤニヤしてるよー
危ないよあいつ!」
「まあ、落ち着いて、
あんまり意識することないよ。
それともあの子が気になるの?梓」
薫はそう言って
にやりと笑った。
「そそそんなことないよ!
そうね!気にしすぎちゃった!へへ」
そんな会話をされていることも知らず
男はひとり夢想にふけっているようだった。