決心
梓は大学の食堂にいる。
食堂は庭に向かって全面ガラス張り。
夏の白い光が差し込む。
テーブル間を広く取ってあり
ゆったりとした配置の中に
大勢の学生が食事をとったり
友達と話をしている。
「ねえ、薫ちゃん!
よくさあ、兄貴にお前は天然だからなあ
とか、
好きな男の前ではしゃべるな!
一言でもしゃべったら振られるぞ!
とか、
おまえ、ゆうこりんと話がぴったり
会いそうだなあ、、
とかいろいろ言われるんだけどなんでだろう?
バカってこと?
私成績いいからバカじゃないと思うんだけど、、、」
薫は非常に困った顔をして
ひとつひとつ言葉を選びながら
話した。
「、、、えーと梓は、、すごい美人じゃない。」
「うん、私すごい美人だよ!」
自分で自分のことをすごい美人と言い切る
そういうところが兄貴に突っ込まれる原因なのだと
薫はすごく言いたかったのだが、、
「、、、そ、そうね!その美人さんが
なんというか、、子供っぽいしゃべり方をすると、、、
ギャップ、、そう!ギャップを感じるのよね!
そのへんのところをお兄さんは言いたかったんじゃないのかなあ」
「、、、なるほど、、わかった」
「それから、私以外に自分のこと美人て言っちゃ
ダメよ!自慢してるみたいでしょ。わかった?」
「わかった!」
薫は話題を変えようと
バイト雑誌を鞄から出して梓に言った。
「っそう!これ見てよ。テーマパークでバイトだって!
楽しそうだね!一緒に行かない?
梓の好きな、くまさんとかもいるよ」
「え?あそこで働くの?いくいくいくー!
毎日ネズミさんやクマさんに囲まれて仕事なんて、、
夢のよう、、、、」
「よし!決まりね!
ちょうど明日、面接日だって!
履歴書書いて持ってくるのよ。忘れないでね!
それと、仕事先ではちゃんと敬語を使うのよ!
変な話し方したら怒られちゃうよ!
わかった?」
「、、うん、、できるかなあ、、、、、」
「じゃあ練習しよう!
今から私の家で特訓しない?」
「私特訓してちゃんとしゃべるようになる!」
薫はバイト先で梓が失敗しないようにする
責任がある。
梓の保護者としては、、、と思っていた。