下手なギターと天使の歌声
べ、、っべべべーん、、がちゃ、、
べ、、間違えた、、、べべべべべーんん
べけ、、ぐきょ、、ぷぴょーん
ジャーーーーン
親父の部屋の中、椅子に座り、一心不乱にギターを弾く与える男。
目の前には正座をして、神妙に聞き入る梓がいる。
「おわった、、、どう?」
「どうって、、、私にこの言葉を言わせるつもりなの?」
「何なんだよ!どうなんだよ!」
梓は与える男の眼を見据える。
「、、、、、、ヘタ。
しかもドヘタ。
これを聞かせるためにわざわざ家まで呼びつけられた
私の時間を返してほしいくらいよ!!」
せっかく一週間一生懸命に練習した
ギターを全力で否定された与える男。
みるみる顔が赤くなっていく。
「何なんだよ梓!
仮にも君は僕の彼女なんだろ!
今は下手だけど頑張ってうまくなってね!
とか
あなたの弾くギターならどんな音でも素敵に聞こえる!
とか言ってみろ!
君には思いやりとかないのかあ!」
「うるさいわね!!
ああ何度でも言ってやる!
ヘタヘタヘタ!このドヘタ!」
「なにー!」
部屋の中で取っ組み合いになる2人。
世にも醜い風景が、親父の部屋の中で繰り広げられる。
そして散々暴れた後一息ついた2人。
「はあ、、はあ、、お父さんの部屋で
暴れちゃダメでしょ、、、ごめんなさい、お父さん」
天を向いてわびる梓。
「それにしてもギターって難しいよなあ
あーあこんな調子じゃバンドを組んで
ライブをやるって言う親父の夢を果たすのはだいぶ先になりそうだなあ、、、」
バンド、、、その言葉を聞いて梓の眼があやしく光る。
「バンド組むの?じゃあ私が歌ってあげる!
この日本一かわいい私が歌えば絶対人気急上昇よ!
スカウトされちゃうかも、、、きゃっ!」
「日本一かわいいって、、、
梓、上には上がいるんだぞ!
かわいくないとは言わないが、思い上がりすぎると、、、」
「そうだ!」
梓は与える男の言葉をさえぎり、大きく叫んだ。
「今からカラオケに行きましょうよ!
私の天使の歌声を聞かせてあげるわよ!ららら〜」
突然カラオケに行くことになった与える男は
ふと思った。
あれ?
そういえば、梓とカラオケにはいったことがなかったなあ、、、
何故だかわからないが、妙な胸騒ぎがする、、、
明日開幕!!!!!!!