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メイドの休日

「すごく眩しい。何だこの光・・・・・・。」

 僕の目に映ったのは、いつも見慣れた天井。

「僕、寝ていたのか・・・・・」

 窓を見るとカーテンが開いていて窓から光が差し込んでいる。

「おはようございます!ご主人様!今日もいい天気ですね!」

 横を見ると、フレアが目を閉じて、口をこちらに突き出している。

「おい、何をしているんだ?」

 するとフレアはきょとんとした顔をして。

「おはようのチューですが?」

「・・・・・・僕はそんなことはしないぞ?」

「えー!ご主人様のケチー!」

 フレアは床に寝ころんで、じたばたしている。まぁ、そんなフレアを無視して、僕は一階のリビングに行く。

 リビングに入ると、テーブルに豪華な食事の用意がしてあった。フレアが来てから、毎日食事は豪華だ。食事代もタダだし、その面に関しては役に立っているかもしれないな、あの駄目メイドは。

 僕が椅子に座ると、いつの間にかフレアも椅子に座っていた。まぁ、そこにはつっこまず、朝ごはんを食べる。

「相変わらずおいしいな・・・・」

「いえいえ、そんなことをないですよー」

 とか言いながらも、すごく照れてる。

「ところで、ご主人様・・・・・」

「何だ?」

 なぜかもじもじしながらフレアが声をかけてきた。

「その、ですね」

「だからなんだ?」

「今日、ご主人様はご予定とかはありますか?」

「別にないけど?」

 するとフレアの顔が一瞬パーっと明るくなった。

「それでは・・・・・一つお願いをしてもよろしいでしょうか?」

「ああ、僕にできることなら」

「それでは・・・・・今日、私と一緒に・・・・・デーじゃなくて、ショッピングをして下さいませんか?」

「それぐらいならいいぞ。どうせ僕は今日は暇だし」

「本当ですか!!」

 そう言って、フレアは勢いよく立ちあがる。

「ああ、本当だ」

「やったー!それじゃあ、十時に駅前集合でいいですか?」

「ああ、別に構わないが・・・・なぜ駅前集合なんだ?初めっから一緒に行ったらいいだろ?」

「それは・・・・・秘密です」

 そう言った後、フレアは早めに食事を終わらせ、自分の部屋に鼻歌を歌いながらスキップで戻って行った。

「一体何なのだろう・・・・」

 謎を残したまま、僕は食事を終えた。





 約束の十時より少し早めに僕は駅に着いた。

「少し早すぎたかな?」

 だが、僕よりも早くフレアがいた。

 可愛いピンクの服に、ショートパンツをはいている。

 フレアも気付いたのだろうか、手を振っている。

「フレア、まだ集合時間の十五分前だぞ?」

「ご主人様との買い物なので、わくわくしすぎて早めに来ちゃいました!」

「あと、メイド服じゃないのか?」

「ふふふ、ご主人様、気づいてくださいましたね。今日はメイド服だけではなくて、こういった私服も見てもらおうという訳です」

「そうなのか、とっても似合ってるぞ」

「ご主人様!女の子の服装に対して褒めるときは、『似合ってる』とかじゃなくて、『かわいい』って言ってあげたほうが女の子は喜ぶんですからね!だからこれからはそう言ってください!」

「それじゃあ仕切りなおして、とってもかわいいよ、フレア」

 僕がそう言うと、フレアの頭からなぜか湯気が出てきた。

「どうした、フレア?」

「ご、ご主人様のその笑顔と、その声でかわいいって言うのは、反則です!むしろ犯罪です!」

「えっ、だってフレアが言えって言ったじゃないか!?」

「だって・・・・・は、恥ずかしいんですから・・・・」

 フレアの顔を見るとすごく赤面している。

 おいおい、そこまで恥ずかしがられると、こっちまで恥ずかしくなってくるじゃないか!

「そ、そ、それじゃあ、ど、どこに行くんだ?」

 あー、急にドキドキしてきたー。すげー噛んでしまう。

「えっと、ショッピングには少し時間が早いので、映画を見たいです!下界こちらに来て、一回も見たことがなかったので、一回は見てみたいと思っていました!」

「わ、分かった。それじゃあ行こうか」

「いいんですか!?」

「ああもちろん。今日はフレアに付き合ってあげるよ」

 そう言いながら僕が歩み始めると、フレアが手をつないできた。その瞬間、僕の心臓がドクンっと跳ね上がる。

 フレアの手はすごく小さくて、柔らかくて、少しでもギュッとするとつぶれてしまうのではないかと思うくらいかわいらしい手で、でも心が安らぐような温かみがある。きっと僕の手は、緊張の汗でいっぱいになってるんじゃないだろうか・・・・。

 そんなことを考えていると周りからの声が聞こえた。

「なに?あのカップル!美男美女だよ!しかも、あの男の子、私超タイプなんですけど!」

 などと、僕たちのことを言っているのだろうか?フレアを見るとにこっと笑ってきた。

 ああ、もう!すごくかわいい!かわいすぎる!もう心臓が張り裂けそうなくらいバクバクいっているのが、自分でもわかるくらいだ。

 しかしおかしいな。いつも僕がここを通っても誰も何も言わないのに、フレアと通るとみんなの目線が降り注ぐ。これも女神の力なのか?

「フレア、僕たちカップルと思われているよ」

「それならいいじゃないですか!それなら、もっとイチャイチャしましょうよ!」

 そう言って、腕を絡めてくる。僕の腕があと少しで、フレアの胸に当たりそうなところまで近づく。

 やばい!すごく緊張してきた!

 そんなこんなで、あっという間に映画館に着いた。

「それで、何を見るんだ?」

「えーっとですね・・・・・そうそう、あれです!」

 と言って、フレアは指を指した。フレアが指した方向をみると。

「ご主人様とメイド・・・・?」

「はい!今までずっと見たいと思っていました!」

「それで、ど、どんな内容なんだ?」

「それはですねー、あるメイドのご主人様とそのメイドの恋愛ストーリーです。要するに、私たちのような感じです」

「あはは・・・・」

 今日はフレアに付き合うと言ったから、しぶしぶ僕はフレアと一緒に映画館へ入って行った。



 約二時間後・・・・・

「おもしろかったですね!ご主人様!」

「あ、ああ・・・・・そうだな」

 テンションの高いフレアと、テンションの低い僕が並んで出てくる。

 フレアがテンションが高いのはもちろん、映画の内容だろう。

 僕がテンションが低いのは、映画の内容もあるが、一番の原因は、なんと僕たち以外に客がいなかったのだ。

 だから店員にも「この映画を見るのか!?」みたいな目で見られた。てか、どうしてチケットが売れないのに、上映しているのだろう・・・・。

 まぁ、フレアの気分が良くなったのでいいとしよう。

「それでフレア、次はどこに行くんだ?」

「そうですねー、映画でポップコーンを食べたのであまりお腹がすいていませんし、そろそろショッピングに行きましょう!」

「そうか、分かった」

 そう言ってから僕たちは、ここの町では大きいショッピングモールに向かった。もちろんフレアは僕の手をつないできた。

 

 映画館からはそう遠くないので、すぐに着いた。

「それでフレア、ここで何を買うんだ?」

「私服を買おうかと思っていまして・・・・・ダメですか?」

「全然いいよ!服なら僕が買ってあげるよ」

「いえいえ、ご主人様は私が選んだのを見て、感想を言ってください!」

「え?本当にそれだけでいいのか?」

「はい!ご主人様の好みのものを買いたいので」

「分かった」

 僕自身、フレアが似合う服はどれでも好きなんだけどな・・・・・。

 そして、フレアの服選びが始まった。爽やかなピンクのワンピースや、今日着てきた服に合うようなパーカーなど、いろいろ試着してたが、全部可愛かった。

「それでご主人様!どれが一番良かったですか?」

「そうだな・・・・・単刀直入に意見を言うが、全部可愛かったよ、だから僕には選べないよ。本当にごめん」

「そうですか・・・・」

「本当に、役に立てなくてごめん」

「それなら・・・・・全部買いましょう!」

 ・・・・・・・・・・えっ!?

「ぜ、全部?」

「はい!全部です!」

「でも、合計で十万はするよ?」

「大丈夫です!女神の貯金は無限にあるようなものですから」

 こ、これが女神の力か!な、なんて羨ましい!

 そして結局・・・・・全部買った。後日僕の家に届くらしい。

 

「あの・・・・・ご主人様」

 フレアがもじもじしながら呼んできた。

「何だ?」

「その・・・・・おトイレに行ってきてもよろしいでしょうか?」

「ああ、別にいいよ。僕はここで待っているから」

「わかりました!すぐに戻ってきますので、待っててください!」

「おう!」

 そう言って、フレアはトイレに走っていった。

 僕も何か買ってあげないとな・・・・・。

 何かないかと周りを見渡していると、いいものを見つけた。

「これなら、僕でも買うことができるし、フレアもきっと喜ぶだろう」

 数分後フレアが戻ってきた。

「お待たせいたしました!」

「おう!おかえり。それじゃあ帰ろうか?」

「はい!」

 そして僕たちは家に帰った。今度は僕から手をつないで。

 その日の晩は、フレアもショッピングで疲れたのだろう。早めに就寝した。フレアが熟睡しているところに、今日僕が買った、フレアへのプレゼントを置く。

 そして次の日の朝、フレアが慌ただしく僕を起こす。

「ご主人様!これっ!」

 と言って、手を突きだしてくる。その手の中にはかわいいハートのネックレスがあった。

 そう、昨日僕が買った、フレアへのプレゼントだ。

「ああ、昨日フレアのために買ったんだ。気に入ってくれた?」

「はい!とっても!」

「そう、それは良かった。着けてあげるから後ろを向いて」

「ありがとうございます!」

 そして僕はフレアにネックレスを着けてあげる。

「これでよしっと」

 ネックレスを着け終わると、フレアがこっちに向き直って、自分の胸元のネックレスを見る。そして、まるで抱きしめるかのように、ネックレスを自分の胸に両手で当てる。

「ご主人様!本当にありがとうございます!」

 そう言って、フレアは今までで一番可愛い笑顔を僕に見せた。

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