メイドが来ました!
僕はいつもと同じように七時に起きる。
「おはようございます。ご主人様!」
そしていつもと同じように窓のカーテンを開ける。
「あっカーテンなら私が!」
そして一つのびをする。
「今日もいい天気ですね」
そして一階に下りるために、僕の部屋のドアを開けるって、なぜ開いている。
ドアの横には、赤い髪をしたメイド服姿の美少女がいた。
「お前・・・・誰?」
「メイドのフレアです。ご主人様」
「なんだメイドか・・・・。誰のメイドだ?」
「ご主人様のに決まっているじゃないですか!もう!」
何顔を赤くしている?
「じゃあどこにいる?そのご主人様は?」
「私の目の前ですか?」
僕は一度、後ろを見る。誰もいない。
念のために左右を見る。誰もいない。
「ま、まさかぼ、僕?」
「はいそうですが?」
「僕はメイドを雇った覚えはないぞ?」
「そらそうですよー。私が勝手に忍び込んだんですから」
「忍び込んだってどうやって?」
「あっ私、ご主人様のメイドであり、女神をやっているので」
「あ、そう、それは大変だね」
って今まで普通にしゃべっていたけど、この子誰?てか今腕組まれているんだけど・・・・。
確か、フレアって名前だったよね。女神とか言ってたけど本当かな?少し聞いてみようかな?
「ねぇフレア・・・・君女神なんだよね?」
「はい、そうですか?」
「じゃあ空中に浮くことはできるの?」
「そんなの簡単ですよ、ほらっ!」
あれれ、腕を組んでいる僕の体まで浮いているぞー?おかしいなー。
「フレア、君すごいね・・・・・。」
「キャー!ご主人様にほめてもらちゃったー!!」
・・・・・・・・・・・。
「まじでぇぇぇ!」
こうして僕の新たな人生が始まった。
「はぁ、なんでこんなことに・・・・・」
僕、藤崎 遼は普通の森水高校に通う二年生。
特に、勉強ができるとか、スポーツ万能とか天才高校生とかではない。
でも、強いて言うのならピアノが弾ける。小学校からピアノを習い始めて、今となっては自分でもうまいと思う。
ただ、中学校から今まで目立たずに生活をしていた。友達も作っていない。理由は・・・・・いろいろある。
でも自分でも結構気に入っている生活だ。
「ねぇねぇ、ご主人様ー!」
こいつが来るまでは!
「ねぇ、ご主人様ー。私もご主人様と一緒に学校に行きたいですー!」
「だめだ、今まで目立たず生活をしてきたんだ!お前と一緒だと目立ってしまうからな!」
「いいじゃないですかー!あっ、もしかして私が別の男にとられるのが嫌なんですか?大丈夫です!フレアはご主人様だけに一生ついて行きますから」
「そういうことじゃなーい!!」
はぁ、こいつといると調子が狂う。朝からこんなに疲れたのは初めてだ。
「もう時間だから僕は登校する。てか、いきなり入学とかは無理だろ?だからお前はここに居ろ!」
「入学なら大丈夫ですっ!女神の力でなんとかできますから!っ!」
おいおい、それは女神としてやってもいいのか?
「好きにしろ!だが学校に来るんだったら、制服を着ろよ!そのメイド姿じゃ目立ってしまう」
「わかりました!ってことは私はご主人様と一緒に学校に行ってもよろしいのですね!?」
「うっ・・・・・まぁいいだろう」
「わぁ、ありがとうございます!チュッ」
「!?お前何をしている!なんでいきなり、き、キスを!?」
「ご主人様あまり大声を出さないでください!私も恥ずかしいんですから・・・・」
何をやっているんだこの女は!もういい!僕はもう行く!
「今から着替えるからお前は部屋を出ろ!」
「私、ご主人様のお着替えをお手伝いします!」
ポイっ
「開けてくださいご主人様ー!」
ガチャ
「あっ、ご主人様、やっぱり私の手伝いがって、もう着替えてるー!!」
「僕は朝ごはんを食べたらすぐに学校に行く。だからお前も何か食べておけ!」
「大丈夫ですご主人様、もう朝食の用意は出来ております」
「朝食の用意?」
僕はいそいで、リビングにある食卓へと向かう。
「なんだ、これは・・・・・」
そこには見たこともない豪華な食事が用意されていた。
「これをお前が一人で?」
「メイドですから」
「でも、こんな食材、僕の家にはなかったぞ?」
「全部、天国から取り寄せました」
僕は食卓に座り、一口食べる。
「お、おいしい!こんなおいしい食事を食べたことがない!」
「ありがとうございます!ご主人様っ!」
でも、本当においしい!こんなやつでも役に立つとは思っていなかった。
「ん?お前は食べないのか?」
「これはご主人様の朝食なので、メイドの私は食べれません」
「何を言っている?僕はそんなことは気にしない。お前も食べろ」
「えっ、よろしいのですか?」
「当たり前だろ?」
「ご、ご主人しゃま・・・・ううっ」
なぜ泣いている!?
「何か悪いことをしてしまったか?」
「いいえ、違うんです。ただ嬉しくて・・・・グスっ」
全く、心配させやがって。
朝食を終えた後、僕たちは学校へと向かった。
後ろからフレイがついてきている。
「って、なんでお前、メイド姿なんだよ!?」
「大丈夫ですご主人様っ!!他の人にはちゃんと森水高校の制服に見えますから」
はぁ、本当に今日は朝から疲れた。こいつのテンションについていけない。
「いでっ!」
後ろを見るとフレアが転んで、今にも泣きそうになっている。
「転んでしまいました。足に怪我を負ってしまいました・・・・グスっ」
なんなんだこの女神は?本当に女神なのか?転んだだけで泣きそうになる女神はいるのか?
「何しているんだよ!そんな傷、女神なんだから自分で治せるんじゃないのか?」
「女神は他人を治すことは出来ても、自分の傷を治すことができないのです」
「なんだよその設定!?ほら、これを貼れば大丈夫だ」
そう言って、フレアにばんそうこうを貼ってあげる。
「それじゃあ学校に行くぞ」
僕が立ち上がると、フレアが僕の服を引っ張ってきた。
「足が痛くて歩けません・・・・グスっ」
はぁぁ!?どんだけ弱い女神なんだよ!!足をちょっと怪我したくらいで歩けなくなるってどういうことだよ!!いらないよそんな設定!
「ほれ、おんぶしてやるから」
「ううう・・・・すみませんご主人様・・・・・ズビっ」
全くなんなんだこの女神は・・・・・。テンションが高い割にはすぐに泣くし、まぁ料理はおいしいけど。
クンカ、クンカ・・・・・。
「ご主人様、いい匂いですね!」
「お前、何嗅いでいるんだ!」
「ううっ、すみません」
おい、すみませんとか言っている割にはまだ嗅いでいるよな?
「そういえば、転んだときになぜ飛ばなかった?」
「はっ!」
「おい、今すぐ僕の背中から降りろ」
「いやです!このままがいいんですっ!」
そう言いながらフレアは、より強く僕にしがみつく。
すみません。胸のあたりが当たっているんですが・・・・・。いや、でもすごくやわらかい。
・・・・・何してるんだろ、僕・・・・。
こうして僕の生活に、メイドが加わった。