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5話 グングニルキャンプ道中

ふと、時雨沢さんの某旅小説を思い出したので、書き方を真似してみました。その他にも某フラグが見える話の作者さんとかです

竹井さん、好きだあああああああ


大いなる違和感があると思いますが、これは次話まで続きます。意外と長くなってしまい、二つに切ったからです

再び変わって、ブラッド・オペラフィールド内にて。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 むかーし昔、というほどでもない昔。というよりむしろ未来。

煌々と輝く電子の太陽と蒼穹の空の下、青々と広がる草原の上に、額を地面にこすりつける短剣使いの女と黒ローブの子供がおりました。その様はどうみてもする側が逆であり、見る人は必ず首をかしげるでしょう。事実、かしげていました。

 女からは見るからに滑稽な雰囲気が漂っていて、男の子は困ったような、離れたいけど離れられないような、とても困ったような表情をしております。しかしその様はなんとなくはまっていて、首をかしげていた人も最終的になんとなくわかった風に頷いて去っていきます。

(……見世物、じゃない)

その度に、トーマは困った顔をしてしまいます。他人から見られないように人目を避けようとしているのに、モンスターにしか効果はないですが気分の問題として隠密効果の高い黒ローブ、中には迷彩服を着ているのに、この女のせいでもの凄い目立っています。正直、ひどく迷惑です。しかし、何を言おうとしてもごめんなさいという言葉に押しつぶされてしまいます。トーマは困ってしまいました。

 しばらくそんなことをしている内に、リンが突然起き上がってトーマをまじまじと見始めました。

「……」

「……な、なに?」

「トーマさん、体力が減ってます」

「……ほんとだ」

あの、角を掴んだ時でしょうか? 確かに深緑の体力ゲージが、若干減って黄緑色に変わっています。バトルヒーリングが開始されるのはダメージを受けてから少し時間が経ってからです。

 しかしただのカスリ傷。トーマは気にすることはない、と言おうとします。

 ですが、リンはそれを言う前にトーマの手を掴みました。

「……なに?」

「ちょっと待ってくださいね?」

そう言うと、リンは瞳を閉じました。

 しばらくすると、リンの体から淡い緑の輝きが漏れ出しはじめました。その体力ゲージの色に似た光はやがてリンの手のひらに集まり、トーマの手を伝って溶けました。

 そう、これがユニークスキル。GMの始めに言っていたそれぞれの力はこれを意味していたのでした。ユニークスキルのほかにも普通の職業スキル、パッシブスキルなどが存在していますが、スポーン時にのみ手に入れることができ、ゲーム内では手に入れることができないスキルが存在します。それがユニークスキルなのです。しかしその中でもレアリティがあり、複数の人が持っているのがベーシック、持っている人が少なめなのがスペシャル、そしてたった一人しか持っていないのがオリジナルです。

 その綺麗な光に見とれていると、いつの間にか体力ゲージが満タンになっていることに気づきました。

 そう、リンのスキルはオリジナル、「体力割譲ハート・デリバリー」。自分の体力を他人に渡すことができる力なのです。

「これで、満タンですね?」

「……この程度、カスリ傷」

「ですが、私のせいで傷がついちゃいました。だから、私の体力あげちゃいます」

そう言って、にこりとリンは微笑みます。そのまま、フラ~っと、

「あ、あ~れ~??」

倒れてしまいました。

 体力ゲージを見ると、その色はもともと緑色であることを忘れてしまいそうになるほど真っ赤に染まっていて、もはや残っているのは数ドット分だけ。

 トーマはため息をつきます。リンの方が体力が削られていたのに、というかこれ以上体力を減らさないように助けたのに、それを減らされては意味ありません。いつの日か勝手に死んでしまうのではないか。そう考えてしまうのでした。

「……神よ、救い給え。ヒール」

徹底的に簡略化された詠唱によって、回復魔法を発動するための魔法陣が展開します。それはすぐに光を放ち始め、リンの体を包みます。すると欠けていた体力ゲージがみるみる色に満たされ、たった数瞬で体力ゲージは満タンに。リンも体が軽くなったことに気づきました。

「あ、ありがとうございます、トーマさん」

「……禁止」

「へ? 何がですか?」

「もう、それは使っちゃだめ」

「えっ」

「それ使わせてたら、多分リンは勝手に死ぬ。だから、ダメ」

「えっ、でも「ダメ」……はい」

リンは落ち込み、絵文字で言うと(´・_・`)←こんな顔になってしまいました。

 しかしトーマは慰めません。これは彼女に生き残ってもらう為、ここまで守ったのですから簡単に死んでもらっては寝覚めが悪いってものです。一人でいた時にはあまり感じない罪悪感を覚えながら、トーマは立ち上がります。

「え。あ。待ってください」

 そう言って立ち上がろうとしたリンですが、体力ゲージだけでなく疲労度も溜まっていたようで、ふらりと体勢を崩します。オリジナルスキルは強力な物が揃っていますが、その分疲労度の溜まり方も段違いに高いのです。これは、明らかに人間にできない技であることが関係しているのではないか、と学者ギルドは考えていますが、真相は定かではありません。

 体勢を崩したリンを、とっさに抱えるトーマ。

 あっ抱えられちゃった、とリンの乙女心が揺れ動きますが、残念ながらトーマは全く意に介していない様子。そのまま肩を組むような体勢に変わります。

「……どうする?」

「ど、どうするって、なななにがですか?」

「一度休憩する? それとも、このまま運ぶ?」

トーマはいたって真面目に、さっさとキャンプに送り届けてリンの安全を確保するために言っているのですが、リンはお構いなし。童顔ながら大人っぽい顔つき、ざんばらながら綺麗な白髪、透き通るような黒瞳から目を離せなくなってしまい、話の半分を聞いていませんでした。なので、

「じゃ、じゃあ、運んで、くれませんか?」

運んでもらうように頼むしかありませんでした。

「……」

トーマはこくんと頷くと、そのまま歩き出します。

 リンはなんとも言えない幸福感に包まれていました。

(あー、なんか幸せ。傍から見たら子供に運ばれてる女なんだけど、凄いカッコ悪いけど、なんかもういいや)

抱えられてテンションがいかれてしまったのでしょうか。乙女の思考暴走特急出発進行。このままどこまでも突き進んでいきます。

(……なんで、ニヤニヤしてる?)

トーマは頭の上に疑問符を浮かべますが、周りの警戒に戻りました。


ちょっと、気持ち悪かったでしょうかwww

リア充みたいな話は書きにくいですね……


※感想、指摘、よろしくお願いします。ユーザ以外の方にもできるように設定しましたので、一言でもいいですから……

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